あきりんの映画生活

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「天地明察」 (2012年) 計算通りに日蝕は起きるのか?

2012年 日本 141分 
監督:滝田洋二郎
出演:岡田准一、 宮崎あおい

日本の暦の元を作った人物。 ★★☆

 

原作は本屋大賞吉川英治文学賞を受賞した冲方丁の同名小説(未読)。
日本独自の太陰暦を作り上げた天文暦学者・安井算哲(後の渋川春海)の姿を描いている。
この人とか日本地図を作った人とか、偉い人がいたものだなあ。

 

安井算哲(岡田准一)は、碁打ちとして徳川家に仕えていたが、算術や星も大好き青年。
算術塾に通い、寺に奉納される数学問題を書いた絵馬に夢中になったりする。
囲碁では、今でも神様と称される本因坊道策と御前試合をしたりする。
知的なこれらのことに心奪われている純粋青年。

 

そんな彼は4代将軍家綱の後見人の会津藩主・保科正之に目をかけられている。
その頃、日本では中国の暦を使っていたのだが、時折ずれが生じるようになってきていた。
日蝕が起きる予測が狂うのだ。
そこで算哲は保科から新たな暦を作れという一大計画の責任者に任命される。

 

映画前半に、日本国中を歩測しながら歩き、天体の観測結果から正確な地図を作る作業をしていた。
気の遠くなるような仕事である。
算哲も同行するのだが、ともに測量をする先輩役に笹野高史岸部一徳
この二人が実に天体好きの好人物として描かれていて、好い感じだった。

 

算哲が心惹かれたのは算術塾の塾長の妹えん(宮崎あおい)。
互いに思い合っていた二人は結ばれるのだが、実生活でも岡田と宮崎は夫婦になっている。
二人の結婚はこの映画の5年後の2017年だが、撮影時にはすでに付き合っていたとのこと。
自然な感じの夫婦役だったわけだ。

 

さて。
徹底的にそれまでに存在していた3つの暦を比較検討した算哲は、新たな暦の提案をする。
しかしそこにクレームを付けてきたのが、なんと京都の公家たち。
暦を司るのは天皇の仕事で、いわば神格化の象徴のようなものであったわけだ。
それを無骨な武士どもに勝手にされてたまるものか。
うわべの上品さを鼻にかける公家たちの嫌みったらしことといったら!

 

この映画、個人的には前半は大変に面白く観ていた。
ほほう、この時代にあんな天体観測のための道具を使っていたのか・・・。
なるほど、年余にわたる観測が必要なんだな・・・。

 

しかし、後半になるにつれていささか展開が漫画チックになってきていた。
クライマックスは、どの暦が正しく日蝕月食を予測できるか争う、というもの。
誰が見たって勝負の結末はどうなるか判る。だからそこに見せ方の工夫が欲しかった。
あまりにも直線過ぎていた。

 

アクションのまったくない岡田准一でしたが、宮崎あおいとのほのぼのラブラブ場面は悪くありませんでした。