あきりんの映画生活

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「アパートメント」 (1996年) 恋の三角関係、四角関係、いや五角関係?

1996年 フランス 111分 
監督:ジル・ミモーニ
出演:バンサン・カッセル、 ロマーヌ・ボーランジェ、 モニカ・ベルッチ

サスペンス・タッチの恋愛もの。 ★★★☆

 

美しい婚約者がいるのに街で見かけた元カノを追いかけていく男の話。
お前、いい加減な奴だなあ。
でも元カノがいきなり姿を消したのには訳があったのだよ。

 

本作のリメイクであるアメリカ映画「ホワイト・ライズ」(2006年)が面白かったので、オリジナルも観たいと思っていた。
リメイク作は大筋はなぞっているものの、結末などは変わっているとのことだった。

 

商社マンのマックス(バンサン・カッセル)は仕事も順調、美しい婚約者との結婚も間近だった。俺は幸せ者だぞ。
そんなおりに、彼はパリのカフェで元カノのリザ(モニカ・ベルッチ)を見かける。急いであとを追うマックス。未練がましいマックス。
それというのも、互いに熱愛の関係だったリザだったが、彼女は理由も告げずにふいに彼の前から姿を消してしまっていたのだ。

 

なんとか彼女の豪華なアパートメントを突き止めたのだが、そこに住んでいたのはアリス(ロマアーヌ・ボーランジェ)だった。
えっ、リザじゃないの? 君は誰? なぜこの部屋にいるの?

 

このマックスという男、よく考えればストーカー体質。
5年前にはじめてリザと出会ったときも、街で一目惚れをした彼女をつけ回して知り合った。
今回も見かけたリザらしい女性のあとを追いかけて、ホテルやら何やらを訪ね回って、彼女のアパートにたどり着く。

 

本作のヒロインはリザ役のモニカ・ベルッチかと思っていたのだが、違った。
真のヒロインはアリス役のロマーヌ・ボーランジェの方だった。
しかしベルッチも若い。イタリアの宝石と呼ばれていたのも納得の華やかさがあった。
カッセルとベルッチはこの頃は夫婦だった?

 

リメイクされるだけあって物語は大変に面白い。
何故マックスの前からリザはいなくなったのか、何故リザの部屋(と思われる)アパートメントにアリスが住んでいたのか・・・。

 

物語のちょうど中程であっというような映像が映って、これはどういうことだ?と思わせる。
そこから物語は大きく様相を変えていく。

 

この映画のワクワクさせるところは、過去のある場面を他の人物の視点から見たら実はこういうことだった、とあとで種明かしがされるところ。
ああ、そうだったのか。それじゃあ、あれはうわべはああ見えたけれども、実はこうだったのだな。
アリスよ、お前の一途な恋心は判るよ。判るけれど、それはあんまりじゃないのか。

 

マックスの相談にいろいろと乗ってくれる気のいい親友がいる。
リザが行方不明になってマックスが落ち込んだときも支えてくれた。
そんな親友のべた惚れの恋人は、実は・・・。

 

今の時代は携帯電話が普及してすぐに連絡が取れるようになってしまった。
30年近く前は、悲恋につながるすれ違いがあり得たのだ(ほら、あの「東京ラブストーリー」の赤名リカとカンチだって・・・)。
だから待ち合わせをしていたマックスとリザは・・・。

 

(以下、最後のネタバレ)

 

ラスト、ああ、やっとマックスは彼女との再会を果たすのかと思っていたら…。
なんともフランス映画らしいシニカルな幕切れだった。
リザは横恋慕女にいいように騙されて、その結果があれでは・・・。可哀想すぎるぞ。