2004年 116分 アメリカ
監督:ポール・マクギガン
出演:ジョシュ・ハートネット、 ローズ・バーン、 ダイアン・クルーガー
謎に彩られたラブストーリー。 ★★★☆
エリートビジネスマンのマシュー(ジョシュ・ハートネット)は美しい婚約者もいて、順風満帆だった。
ところが彼は会食をしていたレストランで元カノのリサ(ダイアン・クルーガー)を見かけてしまう。
思わず我を忘れてあとを追ってしまうマシュー。
というのも、互いに強く愛し合っていたはずのリサは2年前に不意にマシューの前から姿を消していたのだ。
フランス映画「アパートメント」(1996年)のハリウッド版リメイクである本作。
実はこちらを先に観ていて面白かったので、先日やっとオリジナル版を観た。
バンサン・カッセルとモニカ・ベルッチ(夫妻)が出ていて、大変によく出来ていた。
そこでリメイク版を再見してみることにしたのだ。
リサを必死で捜したマシューがたどり着いたアパートメントには同名の別人(ローズ・バーン)が住んでいた。
君は誰? どうしてこの部屋に君が居るんだ?
電話ボックスに残されていたカードキー、ひび割れたコンパクトミラー、サイズの合わなかった靴・・・。
小道具も上手く生かされている(リサの足のサイズを尋ねて、8 1/2と聞いたマシューは、フェリーニだね、と言う、楽しいね)。
比べてみると、このリメイク版はほぼ忠実にオリジナル版をなぞっていた。
ただ全体の雰囲気として、オリジナル版はどこかフランス映画らしい湿り気を感じさせるのに、本作はからっとした軽さがあった。
これがハリウッド映画らしさ?
とにかく本作でのみどころは複雑に錯綜した時間軸で提示される物語。
あのときのあの事柄を、もう一人の視点から見れば実はこういう風になっていたんだと、次第に明かされる。
最後にはすべてが繋がり、何が嘘で何が真実だったのか、謎が明らかになってくる。
非常に巧妙に作られている。
(以下、ネタバレ)
邦題の「ホワイト・ライズ」とは、罪のない軽い嘘、という意味。
しかし、横恋慕したもう一人のリサの嘘が罪のないものだったかどうか。
そこまで追いつめられたもう一人のリサに同情してしまう部分もあるのだが・・・。
(ちなみに原題の”ウィッカー・パーク”というのは、マシューとリサがいつも待ち合わせていた公園の名前)
評価はオリジナル版もこちらも☆7つだが、差を付けるとすればオリジナル版の勝ち。
こちらがハリウッドらしい明るいハッピーエンドだったのに比して、オリジナル版はフランスらしいひねくれた結末だった。
個人的にはその方に奥行きのようなものを感じた。