あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「マッチスティック・メン」 (2003年)

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2003年 アメリ
監督:リドリー・スコット
出演:ニコラス・ケイジ、 サム・ロックウェル、 アリソン・ローマン

娘に再会した詐欺師のコン・ゲームもの。 ★★★

優雅な生活を送る詐欺師のロイ(ニコラス・ケイジ)は、一方では病的な潔癖性でもあり、精神分析医にかかったりもしている。
そんな彼のもとへ、別れた妻が産んでいた娘アンジェラ(アリソン・ローマン)が14歳に成長してあらわれる。はじめはぎごちないロイだったが、自分を慕ってくれるアンジェラに次第に癒されるようにもなる。

途中まで観たところで、これは詐欺をする映画ではなくて、人間としての詐欺師を描いた映画だな、と思いはじめていた。
それほど潔癖性に悩み、いきなりあらわれた実の娘に父親としてとまどう、そんなロイが上手く描かれていた。

ロイは、床のカーペットの汚れには神経質だし(その割には、煙草の灰には無頓着そうだったな)、扉の開閉は1-2-3と数を数えないとできない(これには笑えた)。
家の中には洗剤の匂いがこもっているし(しょっちゅう窓掃除をするものだから)、屋外は苦手で発作を起こしそうになる。
そんなロイのとても人間くさい悩みや苛立ちを、コメディ風味も交えてニコラス・ケイジがよい演技で見せてくれていた。

ところが、やはりこれは詐欺の映画だったのである。
ちょっと冗長に流れたかな、と思っていた矢先に、物語は急展開する。
これから観る人は、途中で止めてしまわないように。後半に期待していいのだから。

ロイが詐欺師であることを知ったアンジェラは、詐欺の手口を教えてくれと言い始める。
しびしぶ教えるロイ(娘にそんなことを教えて良いのかいな)。
14歳ながらにアンジェラは飲み込みも早い。おやおや。
ついに詐欺仲間のフランク(サム・ロックウェル)と3人で大きなヤマをおこなうことになる。

上手くいきそうになった詐欺は、アンジェラを仲間に入れたことなどから、途中で失敗の要素を孕んでくる。
アンジェラを目くらましに使って、計画した詐欺はこんな案配だったのか、それにしては、まずったものだねえ。

いやいや、まだまだ。
この映画の本当の面白さはこれからなんですよ。
えっ!?

(以下ネタバレあり)


最後、ロイは一度は離れたアンジェラと思いがけなく再開する。
ロイにとってアンジェラとの日々は決して悪いものではなかったのだ、と思えて、観ている方にも、ほのぼのとした雰囲気を残すエンディングである。

コン・ゲームものの映画では不可欠な”やられた!”という驚きや、描かれる人間像の生き生きとした感じ、さっぱりとした後味の良さ、など、上質の娯楽作品となっている。