2010年 アメリカ
監督:ルイ・ルテリエ
出演:サム・ワーシントン、 リーアム・ニーソン、 レイフ・ファインズ
ギリシャ神話の英雄譚。 ★★☆
ギリシャ神話の神さまたちはというのは、日本の神様と比べると、とても人間くさい。
神さまたちが権力争いをしたり、嫉妬したり、陰謀をはりめぐらしたりする。
日本の神様や仏様が絶対的に良心的で、そういった欲望とは無縁な存在であるので、そのあたりがはじめは馴染みにくい。
この映画も、神と人が共存している世界が舞台。
神さまたちがあまりに自分勝手なので、人間の王が反乱を起こす。人間の創造主でもある神々の王ゼウス(リーアム・ニーソン)は激怒して、人類をこらしめようと冥界の王ハデスに報復を行わせる。
人類のためにそのハデスと闘うのが主人公のペルセウス(サム・ワーシントン)なのだが、実は彼はゼウスの息子だったのだ。
物語はいくつかのギリシャ神話の話を集めて構成している様だ。
それにしても、全能の神ゼウスは結構好色で、人妻をしょっちゅう誘惑するし、色恋沙汰で意に沿わないことがあると、容赦なく罰を与えて魔物に変えてしまったりする。
そんなわけで、ギリシャ神話の神様たちは、われわれ人間ととても似通った精神構造をしていると思えてくる。
やっかいなのは、それでも神様なので人間が太刀打ちできないような絶大な力を持っていること。
アクション場面はかなりの迫力であった。
巨大なサソリやメドゥサとの戦い、そしてクライマックスのクラーケンとの戦い。
映像はめまぐるしく、迫力はあるのだが、しかし、あの「アバター」で見せられた驚異はなかった。
「アバター」では奥行きのある幻想的な世界を見せてくれたのだが、こちらはただのアクション映画を3Dにしたというだけに終わっていた。
だからもし2Dで観たら、普通の史実アクション映画としての印象しかなかったのではないだろうか。
考えてみれば、全能の神と崇められたゼウスが自分勝手で、この争いの元凶はすべて彼にあると言ってもよいほど。
しかし、そのゼウスをリーアム・ニソンが演じているので、どこか気の弱いところがある善人ぽい。
憎めない神様になっていたが、もしかすれば、私がリーアムを好きなだけ?
3D版で観たが、この映画の3Dは「アバター」とは異なり、2Dで撮影したものを後から3Dに変換したとのこと。
そういうことができるんだと、技術の進歩にびっくり。
そういえば、ジェームス・キャメロンもあの「タイタニック」を3Dにするという話も聞いた。
これから過去の映画もどんどん3Dに作り替えられるのだろうか?
しかし、映像の素晴らしさだけに頼る時代はもう終わっている。
やはり物語の深みがないと、心は動かされないなあ。