2009年 アメリカ 162分
監督:ジェームス・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、 ゾーイ・サルダナ、 ミシェル・ロドリゲス、 シガニー・ウィーバー
SFアクションもの。 ★★★★
希少鉱物を求めて異星に侵略した人類。
当然のこととして、母星を守ろうとする前近代的な生活の原住民との争いが生じる。
さあ、主人公が戦うべき相手は・・・。
人類は衛星パンドラでの希少鉱物の採掘事業をおこなっていた。
パンドラの環境は人間には有害なため、そこで活躍するのが”アバター”である。
”アバター”は、先住民ナヴィと人間のDNAを掛け合わせて作られた人工肉体である。
装置の中で横たわった人間はアバターと意識を結び、遠隔操縦によりアバターを操縦するのだ。
主人公は戦争で下半身不随となった元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)。
アバターを介して自由にうごかせる身体を得たジェイクは、パンドラの森へ出かけ、そこでナヴィ族の女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と出会う。
この映画が10年以上前に公開されたときは、3D映画の傑作として大々的に宣伝された。
確かにその映像体験は素晴らしいものだった。
当時の3D映画は、たとえば「2012」などのように画面から飛び出してくる効果を狙ったものが多かったのだが、この映画は奥行きを感じさせるものだったのだ。
映像は、美しい森の神秘的な広がりを効果的にみせていた。
ネイティリを通してナヴィ族との親交を深めていくジェイク。
深い森の中で暮らすナヴィ族は、神秘的な能力をもつ巫女のような長老によって統率されている。
高くそびえる木々の枝を渡り歩き、特別に意識を通い合わせる怪鳥とペアになったりもする。
当時はジプリ作品、「もののけ姫」や「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」などの影響が言われていた。
たしかにつながるものは随所に感じられる物語だった。
物語の組み立てにはそれほど独創的なものはないし、主人公の行動もこんな風にするのだろうなと想像がつくものだった。
(ミシェル・ロドリゲス姐さんが例によって太っ腹な女気を見せるのだが、ちょっと唐突だったな 苦笑)
希少鉱物が欲しい人間たちは、その採掘のために森を破壊しようとする。
そしてナヴィ族の信仰の中心である大木までも切り倒そうとする
この惑星征服用の重戦車や攻撃へリでの攻撃に、弓や槍などの原始的な武器で抵抗しようとするナヴィ族。
アバターを操るジェイクと、その上官(シガニー・ウィーバー)はナヴィ族と共に戦う。
しかし武器の性能の差は如何ともしがたい。どうなる?
少し厳しい言い方をすれば、映像を見せるために物語があるのであって、物語を語るために映像があるのではない、という映画だった。
それがこの映画のすべてであろう。
しかし、これだけの映像を見せられると、今でもやっぱりすごいよなあとしか言えない。
映画を観る楽しみをどこに置くかでこの映画の評価も変わるのだとは思う。
今観直しても充分に楽しめるものになっている。
キャメロン監督渾身の一作だったのではないだろうか。
(評価には初見当時の感嘆度も加味されています 汗)