2009年 日本 112分
監督:吉田大八
出演:堺雅人、 松雪泰子、 満島ひかる
ちょっと妙な結婚詐欺おとこ。 ★★☆
日本人の顔立ちなのに鼻だけが異様に高い自称・クヒオ大佐は、いつもアメリカ軍人の服を着ている。
正式には、ジョナサン・エリザベス・クヒオといい、ハワイのカメハメハ大王の末裔だという。
カメハメハ大王だなんて、NHKの「みんなの歌」しか思い浮かばないぞ。怪しいなあ。
話す日本語のアクセントは、TVに出てくる芸人が外人の真似をするときにそっくりな、いかにもなカタコト日本語である。
誰が見たって、あまりにも怪しげな人物である。
それなのに、こんな怪しげな結婚詐欺の人物に、実際に女性は騙されてしまうらしいのだ。
何故?
いくらなんでも、怪しすぎるだろうが・・・。
弁当屋の女社長・永野しのぶ(松雪泰子)は店の運用資金までもクヒオ大佐につぎこんでしまう。
博物館学芸員の浅岡春(満島ひかり)も不思議な人物像に騙されかける。
さすがに、海千山千の銀座ホステスにはクヒオ大佐の嘘は通じなかったが・・・。
何故、クヒオ大佐は女性を騙しつづける?
実在の結婚詐欺師をモデルにしているというので、驚く。こんな人物が本当にいたんだ!
なんでも実際のクヒオ大佐は、いろいろな女性から総額1億円をだまし取っていたとのこと。
本当?なんだろうね。
ちょっととぼけた堺雅人の演技が好いなあ。
嘘がばれそうになったりして慌てたときに、口を少し尖らせて落ち着かない目線になるところは可愛い感じになる。
小狡いのに、あまりに小心な人物像なので憎めなくなってくる。
それどころか、必死に騙そうとするいじらしさに、思わず同情してしまいたくなるほど(笑)。
映画の終盤で、貧乏で、親には虐待され、友達には仲間はずれにされ、と、不幸な幼少時を過ごして育ってきたことが、現在のクヒオ大佐の背景にはあることが明かされる。
クヒオ大佐は、自分自身も騙して生きていたのだろうな。
そうしなければ、自分自身に耐えられなかったのだろうな。
クヒオ大佐は、コメディ・タッチで描かれているのだけれども、どこかもの悲しくなるような、そんな人物像であった。
実は、もっとぶっとんだコメディを期待していたのだが、これはこれで、ありか。