あきりんの映画生活

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「三国志」 (2008年)

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2008年 中国 102分
監督:ダニエル・リー
出演:アンディ・ラウ、 マギーQ

趙雲子龍を主人公にした三国志。 ★★★

まずは邦題に惑わされないように。邦題に偽りあり。
三国志」と銘打っているが、この映画は三国志の大勢の登場人物の中の一人、趙雲子龍のただ一人にスポットを当てた物語。

趙雲は生涯を劉備への忠義のためにささげており、私も大好きな人物。
アンディ・ラウがその趙雲の若かった頃からを演じる。

三国志の映画化なので、当然あのジョン・ウーの「レッド・クリフ」と比べられてしまう。公開時期も重なっていたようだし。
おそらく予算は桁違いに違うのだろう。映画全体の迫力は比べるまでもない。
それでも、この映画でも合戦場面などは手を抜かずに作ってあり、充分に満足できるものだった。

それに「レッドクリフ」よりも優れていた点もある。それは、関羽張飛の武器がちゃんとしていたこと。
関羽は長い柄の付いた青竜刀を持っていたし、張飛は蛇矛を持っていた。やっぱりこうでなくては。
(「レッド・クリフ」では張飛はなんと素手で闘っていた! そんな馬鹿な!)

趙雲の有名な逸話としては、敵地に取り残されてしまった劉備の妻と息子を単身で助けに行ったことがあげられる。
この映画でも無名だった趙雲劉備の息子を無事に連れ戻したことで認められる。
(この息子がのちの劉禅になるのだが、劉備に似ずに愚鈍だったんだよねえ)

映画を観ていて驚いたのは、物語があっという間にすすんでしまったこと。
若者だった趙雲が、次ぎに出てきたときはもう白髪混じりになっている。いったい何年間をとばしたんだ?

あっという間にすすみすぎて、もう劉備も死んでしまっているし、あの関羽張飛も死んでしまっている。
もう、生き残っているのは孔明趙雲だけで、劉備の息子の劉禅のために曹操と死闘をつづけている時代になっている。
三国志」をある程度知っていないと混乱するのではないかな。関興っていったい誰だ?という風に(関興関羽の息子です。念のため)

吉川英治の「三国志」でも、横山光輝の「三国志」でも、このあたりからの孔明趙雲の活躍は、悲壮な雰囲気を漂わせ始める。
この映画でも、後半は孤立した趙雲曹操軍との戦いに敗れる様を描いている。

曹操軍の軍師の曹嬰は曹操の孫だが、たしか第2代の魏の皇帝となった人物のはず。
この映画では、なんと女性として登場してくる。
これがまたエキセントリックな美女(マギーQ)で、風吹きすさぶ戦場で琵琶をかき鳴らす。
漫画チックな設定だけれども、どうせなのだから(何が?)こういうのは好みだなあ。

マギーQは、埃まみれの戦場でも、もう、お化粧もばっちりとしている。どうせなのだから、とても好いですよ。
そして曹嬰は趙雲と互角に近い一騎打ちもしてしまう。そんなに強かったのか!

真面目に”三国志”を観ようと思っていた人には肩すかしだろうけれども、これだけエンターテイメント風にアレンジしてくれると、これはこれで面白かった。
くれぐれも、壮大な”三国志ドラマ”は期待しないようにしましょう。