あきりんの映画生活

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「突入せよ!あさま山荘事件」 (2002年)

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2002年 日本 133分
監督:原田眞人
出演:役所広司、 伊武雅刀、 藤田まこと

ドキュメンタリー風の事件もの。 ★★

あさま山荘事件”といっても、今の若者はほとんど知らないのではないだろうか。
銃で武装した連合赤軍の5人が人質を取って立てこもった事件。
昭和47年のことだったと言うから、もう40年以上前のことになるわけだ。
私は、重機のクレーンが壁を壊す映像をTVニュースで観ていた世代。

この事件の突入部隊の実際の指揮をした佐々という人物の本を原作にしているとのこと。
で、その人が主人公(役所広司)。
非常に臨場感がある。
現場での怒号が飛び交って、何を言っているのかよく聞き取れないほど。

ところが、この映画でいったい何を描きたかったのだろうか?と考えると、躓いてしまう。
一人の人間の活躍を主にして、立てこもり事件の一部始終を実録風に描いただけ、に思えてしまう。
連合赤軍の説明も、いわんや時代背景も、なにも説明なし。
だから、わざわざ”あさま山荘事件”である意味がない。

たとえば銀行強盗の一味が現場から逃げて山荘に立てこもった事件があったとすれば、これと同じになってしまう。
あさま山荘事件の映画としては、それではなあ・・・。

政治的背景、社会的背景を描かずにエンターテイメントに徹するのであれば、山荘の見取り図をしっかり提示して、様々な作戦の困難さを観ている者に判るようにするとか、
あるいは、いっそ、立てこもっている連合赤軍側の映像も入れて、両者の思惑を対比させながら描くとか、
その方が面白くなったように思う。

真面目な映画にするというのであれば、やはり「あさま山荘事件」が持っていた意味をもっと主張するべきだっただろう。

繰り返しになるけれども、単なる武装犯の立てこもり事件の映画としてみるなら、そこそこにはよく出来ていたのですよ。
でも、ね。

(追記)
あ、TV放送で観たから、カットされた部分に社会的背景を描いていたのかもしれない。
それなら、原田眞人監督、ごめんなさい。