あきりんの映画生活

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「ぼくのエリ 200歳の少女」 (2008年)

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2008年 スェーデン 115分 
監督:トーマス・アルフレッドマン

ホラー・ファンタジー。 ★★★☆

ホラーものは苦手だし、ヴァンパイアものもどうも合わないので、いつもは敬遠している。
しかしこの作品は、この前観た「裏切りのサーカス」の監督作ということで、観た。

タイトルからも判るように通常の恋物語ではない。
オカルトである。ホラーである。ヴァンパイアものである。
しかし、物語は少し寂しく落ち着いていて、流れる音楽も哀切である。
画面も沈んだ色調で、風景はいつも北欧の雪景色。寒そう。

いじめられっ子の少年オスカーは、隣に越してきた少女エリと次第に親しくなる。
陽が落ちてから雪の積もる中庭で、オスカーは同じ12歳だというエリと毎晩のように言葉を交わす。
大人びたようなエリなのだが、ルービック・キューブを知らなかったりする。しかもそれを渡すとあっという間に色をそろえてしまう。
モールス信号での壁越しの会話をしたりもする(このモールス信号が後半で生きてくる。映画の原題にもなっている)。

このエリ役の少女は、ここだけの話だが、あまり可愛くない(苦笑)。顔色も悪いし・・・(汗)。
謎を(映画を観ている人はタイトルからして判っているわけだが)抱えている雰囲気を、よく出している。

一方、町の近くでは血を抜かれた死体が見つかるという猟奇殺人事件が続発する。
犯人はエリのお父さん。
とても手際の悪い要領で、それでも必死になって死体から血を集めようとする。
哀愁が漂うような、少しみじめなような、そんな殺人者なのだ。
お父さんはどうしてそんなことをわざわざするのだ? 
この謎が伏線となって最後につながっていく。ああ、そうだったんだ・・・。

やがてオスカーもエリの正体を知る(このあたりまでは解説記事にも書かれている)。
そんなエリを、意外に冷静に受け入れるオスカー。
ヴァンパイアは、「入っていいよ」という許可をもらわないと他人の家には入れないようなのだ。
このヴァンパイアの律儀さもなんだか哀れである。

(以下、ネタバレ)

エリのお父さんのようだった人、実はあの人はヴァンパイアの仲間ではなくて、普通の人間だったのだということに、最後近くで気づいた。
で、お父さんのようにエリに尽くしていたのだったのだな。
彼女のために手作りの道具で生き血を集めたやっていたのだな(だから窓から落ちれば死んでしまう)。

そうすると、最後にエリと一緒に旅立つオスカーは・・・。
彼もこれからエリに尽くしながら、自分だけ歳をとっていくのだろうなあ、と思うと複雑な気分になった。

人を愛するということは(エリは人じゃないけれど)、とても大変なことだ。