2012年 アメリカ 120分
監督:ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック、 アラン・アーキン、 ジョン・グッドマン
人質救出サスペンス。 ★★★☆
「ゴーン・ベイビー・ゴーン」「ザ・タウン」と、監督作がなかなかに好くて、これは俳優としてよりも監督としての才能の方があるのではないかと思えてきているベン・アフレック監督作品。
(こういう言われ方はアフレック自身はどうなんだろ?)
この作品では、ついにアカデミー作品賞を受賞している。
1979年にイランで実際に起きた過激派のアメリカ大使館襲撃事件が舞台となっている。
その際に大使館から逃げだしてカナダ大使公邸に隠れた6人のアメリカ人がいた。
執拗に捜索をしているイラン過激派に彼らがもし見つかれば、リンチを受けて惨殺される危険がある。
何とか国外へ脱出させなければ・・・。
映画冒頭のナレーションでイランの歴史が復習されて、いまの国内情勢が説明される。
なるほど、そういう状況か。
革命とか、内戦とか、宗教闘争から遠い世界に住んでいると、その状況の混迷さと、それが引き起こす人々の不幸さには唖然とする。
6人を脱出させるためにCIAが考えた奇策が、架空の映画制作のロケハンをでっち上げるというもの。
そして6人をロケハンのメンバーと偽って国外へ脱出させようというもの。
そんな(馬鹿馬鹿しい)計画が上手くいくのだろうか?
映画では、この話は事実に基づいている、とコメントされる。本当にあった話かよ?
嘘は大がかりであればあるほどバレにくい(詐欺も大がかりな詐欺ほどみんな騙される 苦笑)。
CIAの人質奪還担当のメンデス(ベン・アフレック)は、SF大作「アルゴ」の製作記者発表を盛大に行い、絵コンテやポスターはもちろんのこと、制作事務所までちゃんとでっち上げる。
そして6人の偽造パスポートを準備してイランへ乗り込む。
どこまでが事実なのかは、実際の話は微妙らしいのだが、とにかく映画はエンターテイメントに徹している。
過激派は子供たちを使って大使館でシュレッダーにかけられた書類を丹念につなぎ合わせて復元しようとする。
気の遠くなるような作業だが、それでもやってしまうのだ。
そしてアメリカ大使館には50数名が監禁されていたのだが、人数が足りないことが発覚する。逃げ出した奴らがいる! 探し出せ!
(以下、ネタバレ気味)
終盤の空港での脱出劇にいたっては、ハラハラさせようとして、あまりにもご都合主義の展開になっていた。
そりゃちょっとやり過ぎではないのかい?
出国ゲートを通り抜けるタイミングと、顔写真が判明するタイミングなんて、実際にはあり得ないでしょ。
それに、過激派が飛行機を止めたかったら、滑走路で動き始めた飛行機を追いかけるよりも、管制塔に行って離陸許可を取り消せば好かったのではないかい?
しかし、エンターテイメントの映画として楽しめるものだった。
この映画に真実性や政治性を求めるのは、筋違いなのだろう。
そう割り切って観ることをお勧めします。