あきりんの映画生活

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「愛の地獄」 (1994年)

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1994年 フランス 102分
監督:クロード・シャブロル
出演:エマニュエル・ベアール、 フランソワ・クリュゼ

嫉妬夫の妄想。 ★★☆

ヌーヴェルヴァーグの巨匠とか、フランスのヒッチ・コックとかといわれるクロード・シャブロル監督だが、60歳を過ぎての作品となると、ちょっとだるいかなという印象。
これは嫉妬に狂う男の苦悩(?)を描いたもの。
確かにここまで嫉妬の度合いが激しくなると、”愛の地獄”だなあ。

美しい郊外で繁盛するホテルを営む夫(フランソワ・クリュゼ)は、美貌の妻(エマニュエル・ベアール)との間に一児ももうけて、幸せそのものの生活。
美人で愛想のいい妻は泊まり客の人気者。

しかし、ある日、灯りを消した部屋に泊まり客と一緒に居た妻を見た夫は、妻が不倫をしているのではないかと疑い始める。
実は、妻は泊まり客が撮った写真のスライドを見せてもらっているだけだったのだ。
しかし、ひとたび疑念を抱き始めた夫は、次第に嫉妬の度合いを深めていく。

目が大きく、唇が蠱惑的なエマニュエル・ベアールは、同じヌーヴェル・ヴァーグの監督であるジャック・リベットの作品でもおなじみ。
美しき諍い女」ではヌード・モデル役となって、美しい姿態をさらしている。
確かにこんな美貌の妻を持つと夫は気が休まらないかもしれない(苦笑)。

夫の妄想は夫自身を苦しめ、妻を理不尽に問い詰め、責める。
身に覚えのないことで一方的に責められる妻も苦しむ。
それでも夫を愛しているところが健気。

出口のない袋小路に二人は追い込まれていく。
この映画は、もうそれだけ。
嫉妬に苦しむ夫の妄想と、その妄想に苦しむ夫に責められて苦しむ妻。そのやりとりが続くだけ。

舞台となるホテルを囲む風景が美しく、ヒロインのべアールが美しいので、つい観てしまう。
人間心理の描き方が、やはりフランス映画だなあと思います。