あきりんの映画生活

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「スノーピアサー」 (2013年)

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2013年 韓国 125分
監督:ポン・ジュノ
出演:クリス・エヴァンス、 ソン・ガンホ、 ティダ・スウィントン、 エド・ハリス

未来バイオレンス・アクション。 ★★☆

未来社会が決して無条件に明るいものではないことはいろいろな映画で示されている。
そして極端な貧富の差が生じた世界も描かれてきた。
トータル・リコール」であるとか「エリジウム」であるとか。

この映画でも富裕層と貧困層の対立がある。
そしてこの映画の独創的なところは、その両方の社会がひとつの列車の中にあるということ。
何という世界観だ。すごい発想だ。

氷河期のような寒冷化で人類の大半が死滅した未来世界。
わずかに生き残った人類は永久機関エンジンによって走り続ける1台の列車に乗っている。
列車は1年間をかけて地球を1周しては、永遠に走り続ける。う~ん、すごい発想だ。

貧困層の人々は劣悪な環境の後方車両に閉じ込められ、狭い段々ベッドで寝起きをしている。
与えられる食料は見るからに不味そうなこんにゃく状の合成物。
銃を持った兵士たちに威嚇され、点呼も受けなければならない。
これはかっての強制収容所の様子を彷彿とさせる。監督にもそのイメージがあったのではないだろうか。

この列車帝国の総理大臣がティルダ・スウィントン。出っ歯の権力指向者で鼻持ちならない様子をこれでもかと演じていた。お見事。

前方車両では裕福層が暮らしているらしいのだが、厚い扉で隔てられており、いったい列車の前方には何があるのかも判らない。
そんなある日、ついに貧困層のカーティス(クリス・エバンス)が中心となった反乱軍が立ち上がる。
彼らは、兵士の銃にはすでに弾が入っていない(もうなくなってしまった)と考えて、肉弾戦を挑んで、次第に前方車両へと侵攻していく。

韓国映画のグロというのは、生理的なグロである。
見た目に気持ち悪いとかいうのではなく、人間として存在するときに辛い、気持ち悪いと思ってしまうことを突きつけてくる。
生理的に辛いのだ。
戦闘場面も、肉弾戦なので、ぐしゃあっ、ぼくぅわんっ、ずぼっ、という感じで繰り広げられる。
半端ではないアクション場面が続く。

反乱軍は次第に前方へ侵攻していく。
前方に行くに従って、車両には魚を養殖している水族館があり、農園があったりする。
さらに学校があり、プールがあり、ナイトクラブまでもある。
先頭車両には、この列車の全権力を握っている開発者(エド・ハリス)がいるはず。
なんとしてでもそこまで辿り着かなくては・・・。

(以下、ネタバレ)

エド・ハリスは、閉じられた生態系で生き続けるには役割分担や個体数の調節が必要不可欠であることを力説する。
なるほど、支配層にいわせればそうかもしれない。
たしかに全員が平等になっても閉鎖した生態系は維持していけるのだろうか?
ちょっと考えさせられてしまう。

結局、最後のあの事態の終焉は何をもたらしたのだろうか。
列車が止まり、永久エンジンが喪われて、今度こそ本当に人類の滅亡になったような気がしてしまったのは、私だけ?