2009年 スペイン 98分
監督:イザベル・コイシェ
出演:菊地凛子
女殺し屋の恋。 ★★☆
スペインのイザベル・コイシェ監督が、東京を舞台にして撮った映画。
ヒロインの孤独な女殺し屋、リューを菊地凛子が演じている。
不眠症だというリューは、夜の魚河岸市場で働いている。
誰にも心を開かない寡黙な彼女は、銃を使った一匹狼の殺し屋でもあった。
そんなリューが、殺しを依頼されたターゲットに恋をしてしまった。
物語としてはまったく駄目な作品である。コイシェ自身の脚本も酷いものだと思う。
恋人が亡くなって悲しんでいるはずの男が、その日に出逢った女性をもうラブ・ホテルに誘っている。
こんな男が相手で、惹き文句には究極のラブ・ストーリーって、いったい?
それに孤独な一匹暗殺者の描き方が甘すぎ。
ジェンダーを気にせずに言えば、おそらく男の監督だったらこんなふうには撮らなかっただろうと思ってしまう。
とにかく殺し屋としての美学の部分が皆無なのだ。
だから、孤独な心が禁断の恋に溺れていくという切なさが、なにも伝わってこない。
(銃の扱いもぎごちない。殺し屋なら、もっとクールな手捌きを見せて欲しいぞ)
存在感の薄い録音技師が登場してきて、リューのことをいろいろと語るのだが、役回りもよく判らん。この人、何?
意味のわからないオブジェのような人物が夜の地下鉄の駅には立っているし。
いったい、これ、何?
外国人が日本を描いたときの妙な居心地の悪さは、この映画にもあった。
冒頭にお寿司の全裸女体盛りの場面が出てくる。
こんな場面がなぜ必要? これが日本らしさ? 酷い。
それでも、この映画に★★☆をつけたのは菊地凛子が好かったから。
これまではどうも苦手だった菊地凛子だったが、この映画の役どころはなかなかよかった。
(文字通り、身体を張っての演技だったし・・・)
それにしても、彼女は純愛ものは止めておいた方がいいと思う。
絶対に似合わない(苦笑)。
この映画のあとに撮った「ノルウェイの森」の役どころは、まったく似合っていなかった。