2013年 アメリカ 106分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジュード・ロウ、 ルーニー・マーラー、 キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
医療殺人サスペンス。 ★★★
ソダーバーグのことだから、タイトルからして、医療問題を扱った社会派ものかと思っていた。
悪徳製薬会社と、新薬の副作用に会った被害患者と、正義の医者または新聞記者、みたいな社会派もの・・・(笑)。
違った。まったくに純粋なサスペンスものだった。
夫がインサイダー取引で収監されてしまって、かって患っていた鬱病が再発してしまったエミリー(ルーニー・マーラー)。
精神科医のバンクス(ジュード・ロウ)から新しい向精神薬を処方してもらう。
薬は功を奏したかに見えたのだが、その薬には夢遊病状態を引き起こすという副作用もあったのだ。
そして、まったく記憶に残っていない夢遊状態で、エミリーはなんと最愛の夫を刺し殺してしまう・・・。
さあ、こうなると新薬を処方していたバンクスの立場が悪くなる。
あなたはこの副作用を予期することはできなかったのですか? あなたは製薬会社から治験費をもらっていたそうですね。
それと対照的に、殺人をしてしまったエミリーは、新薬の犠牲となったまるで被害者のような扱いとなる。
実在の向精神薬の名前がばんばんと出てくる。
実際に服用している人もいるだろうに、いいのかいな、と心配になるほど。
バンクスは苦境に立たされるのだが、ジュード・ロウが演じていると、なぜかあまり切迫感が出ない。
なぜだろう? 彼はきょとんとした目をしているから?(笑)
ヒロインは、あのハリウッド版「ドラゴン・タトゥの女」で熱演したルーニー・マーラー。
彼女は映画ごとに印象がまったく異なる。
自分を使い分けている。たいした女優さんである。
彼女の以前の主治医を演じるゼタ・ジョーンズ姐さんはさすがの貫禄。
ということなのだが、これはサスペンス映画なのだから、そんなにあっさりと罪をかぶる人が決まってしまうわけがない。
当然のことながら、新薬を出した製薬会社も絡んでくる。
それも、ああ、そういう形で絡んでくるのか。思っていたのとは違ったなあ。
登場人物はみんなそれぞれに腹黒い。潔癖な人なんていやしない。
一番まともだったのは、インサイダー取引で罪に問われて、ついには妻に殺されてしまった夫マーティンだったかも(苦笑)。
新薬開発、それに伴う医薬業界の癒着、さらには株価の高騰&暴落。
誰かが得をすれば、誰かが損をする。もうこうなってくれば、資本社会の仕組み自体がサスペンスみたいなもの。
(以下 ネタバレ)
嵌められたバンクスの執念の逆転劇が、この映画の見せ所。
こうなりゃ倍返しだっ!とは叫んでいなかったが(苦笑 もう古い!)
予想とは違って、社会性はほとんどないエンタメ作品でした。
ソダーバーグ監督、楽しめましたよ。また映画は作るのでしょ?