あきりんの映画生活

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「オオカミは嘘をつく」 (2013年)

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2013年 イスラエル 110分
監督:アハロン・ケシャレス/ナボット・バブシャド

サイコ・サスペンス。 ★★☆

イスラエルの映画。う~む、初めてだ。
監督も、出演者も、もちろんまったく知らない。しかし、映画自体の出来は大したもの。
ただ、はじめに注意をひとつ。
この映画、かなりの残酷な場面がでてくる。そういったものが苦手な方は要注意、である。

連続少女殺害事件が起きる。それもかなりの猟奇的な殺害。
全裸で椅子に縛られた少女の頭部が切りとられていたりする。
えっ、これ、こんな映画だったの? タイトルからはもっとクールなサスペンスものかと思っていたのに・・・。

この事件を担当する刑事がミッキ。
彼は捜査のためなら歯止めがきかずに何だってやってしまうような、暴力刑事。
そのミッキが目を付けたのが、気の弱そうな学校教師のドロール。

なぜ彼が容疑者になってしまったのかの説明は、なにもなし。証拠もなし。
とにかくミッキはドロールが犯人だと思い込む。
自白させなければ事件は解決しない、よし、取り調べの手段は選ばないぞ。
よし、ドロールを拉致監禁してでも自白させるぞ。

するとそこにあらわれるのが娘を惨殺された父親ギディ。
娘の頭部を何としてでも探し出さなければ、娘の魂は安らかになれない。
なんとしてでも犯人に頭部の隠し場所を自白させなければ・・・。

こうしてドロールに自白を求める暴力刑事や狂気にとらわれた被害者の父親が拷問をはじめる。
原題を直訳すると、”大悪なオオカミたち”とでもいったところか。

イスラエルは、暴力が日常茶飯事的に存在する国とのこと。
監督も、そういった風土を背景にした映画を作ったといった趣旨の話をしていていたようだ。
しかし、この残酷さはすごい。
韓国映画の残酷さもすごいが、あちらは精神的な残酷さ、陰湿な残酷さだった。
それに比べてこちらの残酷さは、あっけらかんとしている。拷問の途中でケーキを焼いたりもする。おいおい。

この映画は、決して犯人が誰かといったことに主眼を置いたミステリーではない。
犯人じゃないかもしれない(気の弱そうな)容疑者に、そんな酷いことまで平気でしてしまえる狂気を描いたサスペンスである。
そこにブラックなユーモアさえ入り込んでくるのだから、かえって恐ろしい。

途中からギディの父親が登場する。
可愛いかった娘のためとはいえ、ギディがそんな常軌を逸した拷問をしていることを知って、てっきり止めるのかと思ったら・・・。
このギディの父親も”大悪なオオカミ”、それもさらに輪をかけたようなオオカミだった。うへぇ~。

拷問を受け続けるドロールはどうなる?
どんなに責められたって、知らなければ、犯人でなければ、白状のしようがないではないか・・・。

最後まで目が離せませんよ。
(映画の出来としては充分なものだったが、あまりに残酷だったので★半分減らしました 汗)