あきりんの映画生活

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「月に囚われた男」 (2009年)

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2009年 アメリカ 97分
監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:サム・ロックウェル

哲学的SF. ★★★

近未来のお話。
その時代、月で発見された新しい燃料を発掘して、エネルギーが枯渇した地球へ輸送していた。
月での採掘基地を運営管理する任務に就くのはたった一人の人物、サム(サム・ロックウケル)。
その彼も燃料生産会社ルナ産業との3年の契約期間がもうじき終わろうとしていた。

この映画、ほとんどの舞台は月の基地内。ときおり月面車で移動する月面。
そして登場人物はサムだけ。他の人物は登場しない。あとは人工知能を備えたロボットだけ。
でも、だからといって、登場人物が一人なのではない(苦笑)。

オープニングから、孤独な月基地でのサムの単調な日常生活が紹介される。
こんな設定で物語になるのだろうかと、若干の不安を感じるほどだが、途中から徐々に物語が動き始める。
作業中の事故で倒れたサムが診療室で目覚めたとき、なんと傍らにはもう一人の自分が立っていた!

この映画、これまでのSF映画のあちらこちらを思い出させるのは確か。
たとえば人工知能のロボットは「2001年宇宙の旅」を思わせるし(胸のところにニコチャン・マークをつけているところが微笑ましい)、もう一人の自分が現れるところでは「惑星ソラリス」を思い出してしまった。
しかし、ありきたり感はなく、コンパクトにまとめられた展開で、緊張感も持続してよく出来ている。

このあとについては、ある程度のネタバレをしないと感想が書きにくい(汗)。

(以下、ネタバレ)

主人公が実はクローン、といえば「アイランド」だが、あれは設定負けしてしまっていた。
(最近作ではもちろん「オブリビオン」)
二人のクローンが協力して、というのは面白い発想だったが、クローンの場合、自分のアイデンティティーはどう認識しているのだろう?

どこまでいっても自分は所詮偽物、という意識はないのだろうか?
記憶もすべて植え付けられて作られたものなら、自分とはいったい何なのだろう?

派手なところはないものの、いろいろと考えさせられる作品でした。