2014年 アメリカ 116分
監督:ジャン・マルク・バレ
出演:リース・ウィザースプーン、 ローラ・ダーン
自分探しのロング・トレイル。 ★★★
一人の女性がアメリカ縦断のロング・トレイルに挑んだ物語。
実在の女性が自分の体験を書いた小説を映画化したもの。
シェリル(リース・ウィザースプーン)は、最愛の母(ローラー・ダーン)の死の哀しみから麻薬に溺れ、離婚もし、自暴自棄になってしまう。
こんな事ではいけない、もう一度母が望んだような自分に戻ろうと、この無謀とも言えるトレイルを始める。
ということで、この映画、ひたすら歩き続ける。
旅の途中でのアクシデントや、人との触れあいなどもちょっとは出てくるのだが、基本的にひたすら歩く。
言ってみれば、ただそれだけの映画(笑)。
でも、面白い。歩くことは(身体を動かすことは)人間の本能的なものに直結しているのだろう。
トレイルにはまったくの素人だったシェリルだったので、バックパックには余分なものを詰めこみすぎて重いし、テントを貼るのにも一苦労。
おまけにガスボンベの燃料を間違えて調理の火も使えない。
今夜も冷たいお粥だわ。おいおい。
シェリルが挑戦したのは、アメリカ西海岸を縦断するパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)。
アメリカではこういったロング・トレイル・コースが3つ整備されているとのこと。うらやましい。
シェリルは、メキシコ国境からカナダ国境までの1,600劼離札ションを、およそ3カ月間歩きつづけていた。
この距離がどれぐらいかというと、日本地図上では札幌から広島までの距離にほぼ相当するようだ。
これはすごいなあ。
いくら荷物を背負っていても、水や食料はなくなる。
そこで補給のためにときおりトレイル・コースから町へ寄り道をするのだ。
トレイル沿いには、ちゃんとトレイル・タウンと呼ばれる町があり、そこでは自分宛の郵送荷物を受けとることもできるのだ。なるほど。
町への寄り道では、トレイルヘッド(コースの入口)と町の間はヒッチハイクをするようだ。なるほど。
私はのんびりジョギングが趣味である。
フル・マラソンは今でも年に数回走るし、60kmや80kmのウルトラ・マラソンにもときどき参加する。
100kmウルトラも5回ほど完走したことがある。
で、こういったロング・トレイルには非常に興味を引かれる。
NHK-BSの「グレート・レース」という、アマゾンの密林やサハラ砂漠などを走るウルトラ・サバイバル・レースの記録番組も大好きである。
さて。
このロング・トレイルは、シェリルにとっては、自分の中から麻薬依存を抜くようなことだったのだろう。
ある種の修行だったのだろう。
主演のリース・ウィザースプーンは「キューティ・ブロンド」シリーズしか観たことがなかった。
あの映画では底抜け天然の弾けた役柄だったが、今作のじっくりとした演技には感心した。
そう、ブロンドだってやるときゃやるのよ。
映画はあっさりとも思えるようにシェリルが目的地へたどりついて終わっていく。
まったく個人的な動機で、まったく個人的なチャレンジである。
誰が褒めてくれるというものでもないチャレンジだが、それゆえの純粋な、価値あるチャレンジであったわけだ。
私も(麻薬に溺れているわけではないが 笑)ロング・トレイルをしてみたいぞ。