2023年 インド 171分
監督:アトリ
出演:シャー・ルク・カーン、 ナヤンターラー、 ディーピカー・パードゥコーン
これぞインド映画。 ★★★☆
2023年、ムンバイの地下鉄が包帯を巻いた老人と若い女たちの一団にハイジャックされる。
そして政府に対して4000億ルピーを要求した犯人たちは、払われた身代金を全国70万人の農民の銀行口座に振り込む。
おや、彼らは貧しい農民を助ける義賊だったのか。
ハイジャッカーの首謀者アザド(シャー・ルク・カーン)は実は女性刑務所の所長。
そしてその配下は理不尽な罪の受刑者たちで、腐敗した政治情勢に抗議する為の行動だったのだ。
ということでこの映画には、旧態依然で汚職まみれのインド政治の糾弾が含まれていた。
インドの政治って、こんなに腐敗しているんだ(どこかの国はこれよりはましだと信じたい)。
さらに彼らは保健大臣を拉致して、老朽化してまともな医療が出来なかった病院に最新設備やトイレなどを設置させる。
手際もよいねえ。
いろいろと変装もしたりして正義の義賊を演じるシャー・ルク・カーンが格好いいよ。
本当の彼はもう還暦近いはずだから、かなりの若作り(苦笑)。でも、格好いいから許す。
このハイジャック事件の交渉役となったのが、シングルマザーでもある警官ナルマダ(ナヤンターラー)。
そしてナルマダは、娘がきっかけで知り合ったアザドと意気投合して結婚までしてしまう。
でももちろんアザドが例の義賊の頭領であることは、警官である妻には隠し通さなくてはならない。
上手く行くかな?
さて。
プロローグでは瀕死の重傷から復活するアザドの父親のヴィクラム(シャー・ルク・カーンの2役)のエピソードが語られていた。
そうなのだ、この映画ではシャー・ルク・カーンが実年齢に近いヴィクラムと30歳若いアザドを演じ分けている。
中盤では父子の共闘へと雪崩れ込んでいく。
映像技術を駆使して、還暦と若作りの2人が共闘するアクションやダンスシーンも見せてくれる。
ということで、何の予備知識もなしに観に行ったのだが、おや、これは2つの物語が合体しているではないか、とびっくり。
そして父の物語に登場してきた美女は、なんと、(今や私一押しの)ディーピカー・パードゥコーンではないか!
これには驚いたし、嬉しさ倍増!
もう30歳代も後半になってきた彼女だが、やはりきれいだなあ。華があるなあ。
インド映画を楽しむために諒解しておくこと、それは屋外だろうが屋内だろうがここぞというときには風が吹き始め主人公たちの髪がなびくということ(笑)。
そして言わずもがなだが、いきなり始まる豪勢で圧倒的な歌と群舞。
インド映画には日常性など欠片もないのだよ。
例によって3時間近い尺だが、色んな要素がてんこ盛りで、最後までテンションあげあげの面白さで進む。
エンドロール中には思わず嬉しくなるような後日談も流れる。
そしてやっぱりみんなで踊ってくれる。これぞインド映画だなあ。