あきりんの映画生活

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「空飛ぶタイヤ」 (2018年)

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2018年 日本 120分
監督:本木克英
出演:長瀬智也、 ディーン・フジオカ、 笹野高史、 小池栄子

企業逆転もの。 ★★★

池井戸潤の小説はたしかに面白い。
あの、倍返しだっ!で有名になった半沢直樹ものも全部読んだし(TVドラマは観ていない)、花咲舞シリーズも読んだ。
下町ロケット」も面白かった(これはTVドラマも観た)。
さてこれはその池井戸原作の初めての映画化。そりゃ面白いに決まっているだろと映画館へ。

主人公は、父親から街の運送会者を引き継いだ赤松(長瀬智也)。
彼の会社のトラックが脱輪事故を起こし、偶然通りかかった主婦がそのタイヤに強打されて亡くなってしまう。
事故は、自動車会社が言うように整備不良のために起こったのか、それとも・・・。

池井戸ものだから、組織を楯に不遜に構える巨大会社と、それに翻弄される街の弱小会社の戦いがメイン。
不屈の精神でこつこつと巨大組織に立ち向かって、(お約束の通りに)最後に溜飲を下げる。
観ている者も、ああ、よかったね、と満足感いっぱいで見終わることが出来る。悪くない。

このホープ自動車三菱自動車をモデルにしていることはだれだってすぐに判るだろう。
するとホープ銀行は三菱USJ銀行か。
まあ、そんなことはどうでもいいのだけれど。

敵対するホープ自動車の顧客係にディーン・フジオカ
組織の歯車の一人だった彼だが、途中からは赤松の言い分に耳を傾けるようになっていく。割と得な役どころ(原作ではもっと複雑な性格の人間像だったが)。

脇役では赤松運送の古参の専務を演じた笹野高史が好かった。
小説を読んでいても彼の顔が浮かび、声が聞こえてくるような気がするほど。やっぱり上手いんだろうな。

エンドロールで今ヒット中のサザン・オールスターズの主題歌が流れる。
歌詞には(桑田佳祐独得の)妙なところもあるが、なんといってもメロディがいつまでも頭に残るような名曲。

さて今回は映画を観てからの小説となった。
文庫本は約860頁の大冊で、今は500頁のあたりを読んでいる。
さすがに小説の方は登場人物の心理の襞などがていねいに書き込まれている。
それに映画ではカットされたエピソードがいくつも絡んできて、物語をさらに重層的にしている。

しかし2時間という長さにこの物語の面白さをうまくまとめていた。
企業ものだが、それを俯瞰的にではなく、それを動かしている個個の人物ドラマとしてきちんと描いていたからだろうと思う。