1997年 日本 90分
監督:石井聰瓦
出演:小嶺麗奈、 浅野忠信
夢野久作「少女地獄・殺人リレー」の映画化。 ★☆
連続殺人鬼かもしれないという疑惑を抱きながらも、同僚のバス運転手へ惹かれていく女車掌の物語。物語は昭和初期の時代だろうか、ボンネット・バスとか、お下げ髪とかがノスタルジックな雰囲気をあらわしている。
夜の雨の踏切の場面とか、モノクロの画面はそれなりに美しい。しかし、いかんせん、ストーリーが単調で途中で眠気を誘う。
自身の破滅の予感を抱きながらも、それでも突き進んでしまう恋心が軸となるのだが、夢野久作のなにを描きたかったのかがよくわからなかった。
たとえば、私の大好きな鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」のように、監督が原作に触発された夢を見せて欲しかった。
浅野忠信もあまりにあっさりとしていて、連続殺人鬼の影が見えない。
これが斬新な映像の映画だと言われると、一寸困ってしまう。監督の勝手な思い入れが空回りをしているとしか思えなかった。