あきりんの映画生活

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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海」 (2016年) 魔都上海に戦争の足音が近づいて

2016年 中国 123分 
監督:チェン・アル
出演:グォ・ヨウ、 チャン・ツィイー、 浅野忠信

近世史実もの。 ★★

 

まず邦題に文句を言いたい。これは酷い。「ワンス・アポン・ア・タイム」とつければ大作映画のように思ってもらえるだろうという(浅はかな)意図が丸見え。
原題は「喪われた時間」とでもいったところで、太平洋戦争を挟んだ時期の上海を舞台にした男女の群像劇だった。

 

映画は1937年の上海で始まる。
マフィアのNo.2であるルー(グオ・ヨウ)は上海の裏社会で絶大な力を持っていた。
妹の夫ワタベ(浅野忠信)はルーの片腕とも言うべき存在だった(浅野が存在感をだしていて、好演)。
そしてルーのボスの妻リュー(チャン・ツイィー)は派手で奔放な生活を送っていた。

 

この3人が時代の変遷にもてあそばれるように抗えない運命を生きていく。
しかし、この映画の一番の問題点は、視点が跳びすぎていることだった。

 

いったい誰の何を描こうとしたのか、まずはその主軸が定まっていない。
主役3人がてんでばらばらに動いていくのだ。彼らの人生が交叉するところでも、一体なにが言いたかったのかが伝わってこない。

 

それにも関係するのだが、物語に描かれる時間と場所があまりにもばらばらである。
始まりは1937年だが、それが3年前に遡り、1945年あたりに跳んだりもする。
えっ、いったいどうなったの? どうして時間が跳んだの?

 

後半になると、いきなり日中戦争下のフィリピンの捕虜収容所が出てきたりする。ワタベの息子はどうして彼の目の前で射殺された?
そして登場人物たちが、どうしてこんな風に変化するの?と訝しくなるほどにぶれる。
結局、わけが判らなくなる、のである。

 

え~と、ワタベは死んだと見せかけていただけで、実は日本軍のスパイだった、ということで合っているんだよね?

 

チャン・ツイィーが出ているので観たのだが、(もちろん彼女は好かったのだが)、映画自体はとりとめのないものだった。
実はあまりにもわけが分からなくなったので、真ん中で中断した。日をあらためて始めからもう一度観なおした。

 

でも・・・(汗)。