あきりんの映画生活

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「ヒストリー・オブ・バイオレンス」 (2005年)

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2005年 アメリカ 96分
監督:デビッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、 マリア・ベロ、 エド・ハリス

隠していた過去が襲ってくる。 ★★★☆

 

田舎町の食堂を経営するトム(ヴィゴ・モーテンセン)は、弁護士の妻(マリア・ベロ)と2人の子どもと幸せな生活を送っていた。
ある夜、彼の店が2人組の強盗に襲われる。
彼らは拳銃を突きつけ金を奪い、女性客に乱暴を働こうとする。
するとトムは、とても一般人とは思えない身のこなしで強盗を一瞬で倒してしまったのだ。
無我夢中でやったというトムは、店の客や従業員の危機も救って一躍、町のヒーローとなった。

 

クローネンバーグ監督といえばホラー的な映画で有名だった。
これまでに観たのは「イースタン・プロミス」だけ。
で、あれ?思っていたのとは違う作風だな、というのが感想だった。
世評の高いこの映画は、ホラー? それともバイオレンス?

 

強盗を瞬殺するこの冒頭部分から物語に惹きこまれた。
いくら無我夢中だったと言ったって、素人にあの決断、反射神経、運動能力があるか?
トムには何か秘密の過去がある?と観ている者に思わせる。
モーテンセンが筋肉マッチョではなく、どちらかといえば知的な雰囲気をただよわせているので、ますますその疑問はますます深まっていく。

 

数日後、片目が義眼の危険な雰囲気の男フォガティ(エド・ハリス)が食堂にやって来る。
マフィアの一員であるフォガティは、以前のトムを知っているような口ぶりで話しかけてくる。
ほうら、やっぱりトムには何か秘密の過去があったのに違いない。
しかし、人違いだと否定し続けるトム。

 

このあたりでは、トムは記憶喪失者で、ある状況になると反射的に身体が反応して動いたのかとも思いながら観ていた。
ほら、あのジェイソン・ボーンの出だしの頃の設定、ね。
でもそれは違ったのだった・・・。

 

この映画の基調となっているのは、タイトルにもある人間の暴力性。
途中で、苛められてばかりいたトムの息子が反撃する場面があった。
それも中途半端な反撃ではない。とても暴力的。
父親の血筋を引いていたのだろうか。

 

(以下、ネタバレ)

 

意を決したトムはマフィアの兄との対決に赴くことにする。
そう、トムはマフィアのドンの実の弟だったのだ。すご腕の殺し屋だったのだ。
トムが、元のような平和な家庭を取り戻すにはああするしかなかったのだろうな。

 

この映画のもうひとつの基調は家族愛。
過去を隠してきた夫を、父親を、家族は許すことが出来るのか、受け入れることが出来るのか。

 

最後の場面、トムは家族が食事をしている家に戻ってくる。
4人ともそれぞれの思いを抱えて沈黙している。
やがて娘が父親のために食器を用意する、息子が料理を取り分ける。
そしてうつむいていた妻が顔をあげ、夫と視線が交差する。

 

安易な終わり方でないところはさすが。
この家族はこれからどんな風に言葉をかけ合いながら生活していくのだろう。
見応えのある作品でした。