あきりんの映画生活

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「Mr.ノーバディ」 (2020年) しょぼいおじさんが、実はハードボイルドだぜ

2020年 アメリカ 92分
監督:イリヤ・ナイシュラー
出演:ボブ・オーデンカーク、 クリストファー・ロイド

単純明快な痛快アクション。 ★★★

 

路線バスで工場へ通う単調な毎日を送っているハッチ(ボブ・オーデンカーク)。
職場でも地味な存在で、家庭でも妻や息子から軽んじられている。
平凡な、どちらかと言えばさえないおじさんのハッチ。
しかし実はこの男は・・・、というのがこの映画の眼目。
単純明快、何も考えることもなく痛快アクションを楽しめる作品だった。

 

冒頭でハッチの家に強盗が入る事件が起きる。
暴力を恐れたハッチは反撃することもできず、そのことで家族からは今さらに失望されてしまう。
くそっ、面白くないぞっ。

 

で、路線バスで乗り合わせたチンピラたちの挑発に、ついにハッチの堪忍袋の緒が切れる。
これまで抑えていた暴力衝動が解き放されて、まあ、無茶をするわするわ。
そしてこの映画の特異な点は、ハッチがまったくの無敵ではないところ。
結構ハッチもやられるのである。しかし、どんなにやられてもへこたれずに、相手をそれ以上にやっつけてしまうのである。
この根性のすわり具合は、こりゃ、ただ者じゃないね。

 

この手の映画は、それまで世間に見せていた姿と、実は・・・という隠されていた実体がかけ離れている方が面白い。
その点、今作は余分なものを一切そぎ落として、そのことだけを描いている。潔かった。

 

さて。
こてんぱんにやっつけて殺してしまったチンピラの中にマフィアの息子がいたものだから、事態は大がかりなものになっていく。
さあ、マフィアが襲ってくるぞ。どうする。
なあに、かまうもんか。俺様は俺様だぜ!

 

主人公のハッチなヤバいところは、すごい戦闘スキルを発揮する理由が正義感でも何でもないところ。
単に我慢して押さえつけていた自分の暴力衝動に負けただけ。
そのあたりが、知性的な雰囲気も出していたイコライザーおじさんとはまったく違うところ。
そんなヤバい男とも知らずにちょっかいを出したマフィアも運が悪かった。
まあ、ハッチも相手が悪人集団だから思い切り暴れることが出来たのだけれどね。

 

おっと、施設に預けている年老いた父親(クリストファー・ロイド)の存在をマフィアにかぎつけられてしまったぞ。
マフィアが襲いにいったぞ。大丈夫か?
しかし、この爺さんがやるのである。
どこかで見たような顔だなと思っていたのだが、ああ、そうだ、バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクじゃないか。変人ぶりは相変わらずだったな。
どうやらこの爺さんは元FBIらしく、暴力沙汰大好きじいさんだったのだ(笑)。

 

クライマックスは大金で買い取った勤め先の工場での決戦。
いろいろな仕掛けをしておいてマフィアをおびき寄せる。おお、この戦い方は「ランボー・ラストブラッド」ではないか。
アクションには「ジョン・ウィック」や「アトミック・ブロンド」の製作チームが加わっているとのこと。
うん、見応えがあるよ。

 

というわけで何も考える必要のない1時間半でした。
最後、ハッチの過去をこれまで知らなかった奥さんが、新居を見に行ったときの一言、「地下室も必要ね」は好かったよ。

奥さんに隠し事もなくなって、さあ、続編を待っているよ。