あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「橋の上の娘」 (1999年)

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1999年 フランス
監督:パトリス・ルコント
出演:ダニエル・オートゥイユ、 バネッサ・バラディ

官能的な男女物語。 ★★★★

 

パトリス・ルコント独特の少し捻れた愛を、これも少し尋常ではない官能表現で描いている。
ストイックな愛なのに、とてもエロティックである。
さすが、ルコント監督、本領発揮である。

 

映画はモノクロで描かれる。
アデル(ヴァネッサ・パラディ)は行きずりの男に惚れてはすぐ捨てられてしまう人生だった。

そんなことに絶望した彼女はセーヌ川に身を投げようとある橋の上に立つ。
そんな彼女に、「馬鹿なことをしそうだな」と声をかけたのが、ナイフ投げのガボールダニエル・オートゥイユ)。
アデルを助けたガボールは彼女を”ナイフ投げの的”としてスカウトする。

 

このふたりの関係が微妙。
ふたりはまったくストイックで、アデルは旅先で知り合う男たちとすぐに恋に落ちる。
ガボールはそんなアデルに何も言わずにただ見ているだけ。

 

それなのに、ナイフ投げの場面になると一転する。
女に向かって男の投げるナイフの一投一投はまるで愛撫のよう。
そして女は、自分をめがけて男が投げたナイフへの恐怖が官能の歓びとなっているよう。
もうふたりの性愛行為を見ているような気にもなってくる。

 

ヒロイン役のヴァネッサ・パラディは、今はジョニー・デップと結婚しているはず。
かってはシャネルのモデルもやっていたとか。
華のある人生を歩んでいる人なのだな。

 

ふたりの出し物は行く先々で喝采あびる
そしてカジノのルーレットでも大勝をしたりする。
肉体関係以上に強く惹かれ合っているふたりのようだったのだが・・・

 

アデルがまたまた男に惹かれて、ガボールの元を去ってしまう。
しかし彼女はすぐに自分の行為が浅はかなものだったことを痛感する。
一方、取りのこされたガボールもまったく人生に絶望してしまう。
橋の上に立つガボールに背後から声がかかる、「馬鹿なことをしそうね」・・・。

 

そしてアデルは言うのだ、「私に投げるナイフがあるなら一緒に行きましょう」。

 

ひとつだけ、苦情を。
冒頭のアデルのインタビューのような場面、あれはまったく不要に思えたのだが・・・。

 

仕立て屋の恋」や「髪結いの亭主」にも通じる捻れた愛が描かれていた。
単純な普通の愛よりも、捻れていると愛は強くなる?