2005年 レバノン 118分
監督:フィリップ・アラクティンジ
出演:ロドニー・エル・ハッダード、 ナディーン・ラバキー
ロード・ムーヴィー。 ★★
15年ぶりにフランスから内戦後の故郷レバノンに戻ってきた振付師のカマール。
斬新な振り付けのタブケ(レバノンの民族舞踏です)で仲間とともにコンクールに出場するが、古い伝統を重んじる審査員からは酷評されてしまう。
だが彼らはあきらめずに、古いバスを赤く塗り直して巡業の旅に出る。
ボスタとは「バス」を表すアラビア語。
伝統的な民族舞踊であるダブケに新しいものを取り入れようと頑張る、いわばミュージカル・ロード・ムービー。
インド映画のようにいきなり唄い始め、踊り始める。
ときには画面に向かって歌っている。かなり好き勝手に作った映画である。
残念だったのは、映画の中心ともいうべきダブケというレバノンの踊りについてまったく知識がなかったこと。
伝統的なタブケ、それに新風を取り入れたというテクノ・タブケ、と言われても、違いもよく判らない。
だから観ていても、ああ、ここが斬新なところなのだなという気分の盛り上がりが持てなかった。残念。
伝統的なタブケに対する現代的なダブケ。日本で言ったら、ポップス調のヨサコイみたいなこと? テクノ・ヨサコイとか。
あとで調べたところ、タブケの語源は「踏みならす」ということのようだ。
レバノンで家を建てるときの地面を皆でリズムを取って踏み固めたのが由来とのこと。
ああ、それでみんなで並んで踊るんだね。
映画は訪れる村や町で一行がタブケを踊る様を描く。
中東らしい音楽もダブケも明るく陽気。
ただ、物語の抑揚は少なく、どちらかといえば単調に続いていく。
ヒロインのナディーン・ラバキーは、先日観た「キャラメル」の監督兼主役だった人だった。
レバノンの国の様子や、タブケそのものについてもっと知っていれば、映画をさらに楽しめたかもしれません。
レバノン映画としては、人生ドラマが詰まっていた「キャラメル」の方が面白かったなあ。