1992年 アメリカ 100分
監督:ルイス・ロッサ
出演:トム・ベレンジャー
ジャングルの狙撃手。 ★★☆
舞台は南米のジャングル。
その奥地に根城を持つ麻薬王と反政府集団の首領を狙撃するように指令を受けたベケット(トム・ベレンジャー)。
彼はこれまでに70人以上の敵を狙撃してきたベテラン・スナイパー。
そんな彼が今回組むことになったミラーは(ビリー・ゼイン)はオリンピックの射撃メダリスト。
しかし未だ人を撃ったことはなかった。ここが肝心なところ。
ベテランと新人のバディものという設定で、新人の不慣れな様子を描くことでベケットのベテランぶりを浮き立たせるようになっている。
巧みな設定である。
物語は、とにかくジャングルのなかを辿り、敵を狙撃する、原題通りにもうそれだけを描いている。
女性も出て来なければ、会話も少ない。
裏切りとか、密約とか、大きな隠された陰謀とか、そんな捻りも一切なし。
この映画は、ただただ狙撃に向かって一直線なのだ。その過程を観る映画。
ミラーはメダリストの経歴を活かして軍の幹部になることを目標としている。
こんな風呂にも入れないジャングルを歩くなんて、この俺の仕事じゃないぜ。
そんなミラー役のビリー・ゼインてどこかで観た顔だなあと思っていた。
ああ、そうだ! 「タイタニック」だ。ローズの婚約者の、あの金持ちで嫌みな奴じゃないか。
こういう雰囲気の役が多い役者なのかな。
任務のためにジャングルのなかをひたすら歩き、ただ人を撃ち殺す。
非情な男の仕事というわけだが、それがやりがいのある仕事なのか、とも思ってしまう。
そんなベケットの夢は、引退したら故郷に帰ってマス釣りをして暮らしたいという平穏なもの。
少しは人間性を描こうとしたのだろうが、そのあたりは浅いものになっていた。
予想外の事態ともなり、それでも任務を遂行しようとするベケット。
おじけづいて作戦を中止しようと言い出すミラー。
そんな齟齬をなんとかして、敵の本拠地へたどりつく二人。さあ、狙撃は成功するのか?
威勢ばかりで実はまったくあかん奴だったミラーも、終盤になると出来る奴に変貌する。
おお、ミラー君、成長したねえ。ベケットのおかげだよ。
バディものの定石といってしまえばそれまでだが、好かった好かった。
原題はあっさりと「スナイパー」だが、この邦題は素晴らしい。
ヒット・シリーズとなり、昨年には第8作が公開となっている。
秋元才加が敵狙撃手として出ているとのことだが、どんなだったのだろうか?