2009年 アメリカ
監督:ニック・カサベテス
出演:アビゲイル・ブレスリン、 キャメロン・ディアズ、 アレック・ボールドウィン
白血病の姉がいて・・・。 ★★★☆
夫ブライアン、妻サラ(キャメロン・ディアズ)には3人の子供がいた。
しかし、長女のケイトは2歳の時に白血病となり、それからは闘病の毎日だった。
サラは弁護士の仕事も辞め、ケイトの看病に自分の生活のすべてを費やしている。
小児癌に冒された子どもは本当に気の毒である。
学校に行けない、友達と遊べないのはもちろんのこと、副作用が辛い抗癌剤治療や放射線治療で癌と闘わなければならない。
そんな幼い子供達は自分のこと、自分の人生をどのように受け止めているのだろうか。
ケイトも辛い治療を繰り返してきた。
それだけ頑張っても病状は次第に悪化してくる。
頭髪は抜け落ち、常に酸素吸入が欠かせない。腎機能不全にもなってきている。
主治医は、あとできることといえば生体腎移植しかない、と告知する。
そこでケイトの妹アナ(アビゲイル・ブレスリン)の腎臓を移植する話が進んでいる。
アナのケイトとの組織適合性は完璧なのだ。
これまでもアナから幾度となく採取された骨髄細胞はケイトに移植されてきた。
その効果でケイトはこれまで延命できたのだ。
実はアナは、ケイトに骨髄細胞や臓器を提供するために遺伝子操作で生まれてきたのだった。
ケイトの白血病が判明したときに、両親も兄も組織適合性がなかった。ケイトに骨髄も臓器も提供は出来ない。
そこでケイトを治療するために、組織適合が完璧な受精卵を作り体外受精で計画的に産まれたのがアナだったのだ。
姉の治療のためにこの世に産まれてきた(産まされてきた)自分。
こんなことを知ってしまったアナは、自分の存在意義をどんな風に捉えていたのだろうか。
そして一方のケイトは、妹に犠牲を強いて生き延びている自分の命をどんな風に考えていたのだろうか。
そして、11歳になったアナはケイトへの腎臓提供を拒否したのだ。
自ら有名な弁護士(アレック・ボールドウィン)を自分のわずかな小遣いで雇い、腎臓提供を強要する両親を裁判所に訴えたのだ。
えっ、アナ、あなたは何を言い出すの。
あなたが腎臓を提供しなければケイトは死んでしまうのよ。そんなことが許されるはずがないでしょ。
でも、私の一生はケイトの犠牲になることではないわ。
もうこれ以上、自分の体を切り刻まれて使われるのは嫌なの。それが私の人権よ。
これはどちらの言い分も判ってしまう。判ってしまうだけに辛い。
そして子どもが両親を訴えるという裁判が本当に始まる。
しかし、本当は姉のケイトが大好きなアナの真意は何なのだ?
アナは本当にケイトの命よりも自分の身体の方を選んだのか?
いったい、この映画の結末はどうなるのだろうと思いながら観ていた。
何が正解か、誰にも判らない問題ではないか。
・・・と、裁判の大詰めで、傍聴席にいた兄があることを大声で叫ぶのだ。
・・・えっ、それ、どういうこと?・・・。
最後まで惹きつけられる映画だった。
ある結末を迎えて物語はおだやかに終わっていく。
・・・そうだったのか。
物理的な生命はもちろん大切なもの。そして心の生命はもっと大切なものだったのか・・・。