2018年 インド 154分
監督:ゾーヤー・アクタル
出演:ランビール・シン、 アーリヤ・バット
ラッパーを目指す青春。 ★★☆
”ガリーボーイ”というのは”路地裏の少年”といった意味のようだ。
実際にインドで活躍するラッパーの実話を基にしているとのこと。
スラム街で生まれ育ったムラド(ランビール・シン)。
貧しい生活の中で大学に通い、悪友とつるんで悪さにも手を出したりしている。
医者の娘で医学生の彼女もいる(インド社会では身分違いの恋なのだが)。
要するにムラドはその辺にいる若者の一人。そんな彼はラップの歌詞を書くことが好きだったのだ。
物語の背景には、インド社会に根強く存在する男尊女卑思想や、貧富の格差、根強い身分意識などがある。
イスラム教徒は一夫多妻制でもあるようなのだ。
家庭では父親の権威は絶対で、理不尽であっても妻は夫に従い、子供は父親に従う。結婚も親に決められる見合い婚が普通のようだ。
今もインドの社会事情には厳しいものがあるようだ。
ある日、ムラドは大学で学生ラッパーと出会う。
そして彼の後押しもあって、“ガリーボーイ”と名乗ってラップに挑戦していく。
ラップ・バトルというのがあるようだ。
対戦相手の悪口を言い合って、どちらが言い負かすか、といったもの。
これ、ただの罵詈雑言の言い合いじゃね? これ、音楽? よく判らん・・・。
ま、とにかく、ムラドはラップに目覚めたのだ。
そしてその才能を開花させていくのだ。
ラップこそが自分の人生だ、これで自分は成り上がってみせる、と決意する。
(やっちゃえラップ・・・、そう、ムラドは”インドの永ちゃん”を目指して成り上がろうとしたのだ)
しかし父は息子がラップなどというものにうつつを抜かすことを許そうとはしない。
使用人として生きてきた父は、使用人の息子は使用人にしかなれない、身の程知らずの夢を見るな、と怒る。
いや、負けないぞ、ラップの大会で優勝して、俺はラッパーとして認められるんだっ!
実のところ、私はラップというものがよく判らない。
リズムに乗ってただ歌詞を唱えているだけではないか、などと、ラップ好きが聞いたら卒倒してしまうような感想しか抱けないのだ。
だから根本的なところで、この映画の面白さが理解できていない。
おそらく、ラップ好きな人には良い映画なのだろうと思う。
髪型のせいもあるのだろうが、ムラドは真面目で学業優秀、将来は会社勤め人間以外の何ものでもない、といった雰囲気に思えた。
とてもヒップ・ホップをするような若者には見えなかった。
しかし、モデルになったラッパーが実際にこういう髪型だったのだろうな。
映画は、ある有名なラッパーの公演の前座を決める大会でムラドが優勝するところで終わっていく。
青春もの、音楽もの、成り上がりもの、として好く出来ていたと思う。
アカデミー賞外国映画部門のインド代表作品であったり、ベルリン映画祭のオープニング上映作品であったりと、一定の評価を得ている作品です。
私の評価が低目なのは、ひとえに私がラップを理解していないせいです(汗)。