2013年 インド 141分
監督:ローヒト・シェッティ
出演:シャールク・カーン、 デイービカー・バードゥコーン
南インドを舞台にしたラブ・コメディ。 ★★☆
最近のインド映画には、ハリウッド映画も顔負けの本格的なスパイ・アクションものや、SFアクションものもある。
さらには、まったく歌も踊りも入らない人間ドラマもある。
というか、そういったインド映画も日本で紹介されるようになった。
この映画は、インド映画ときいて普通に想い浮かべていた歌と踊りの入ったラブ・コメディもの。
主役は、「恋する輪廻/オーム・シャンティ・オーム」でも競演していたシャールク・カーンとディービカー・バードゥコーンのコンビ。
これは観る前から楽しい時間が過ごせそうだと、顔がほころぶ。
舞台はチェンナイ・エクスプレスに乗って訪れる南インド。
どうも南インドになると言葉も違ってくるようで、通用する言葉はヒンディー語ではなくなる。
同じインド国内でありながら通訳が要る。
(余談)
数年前にインド旅行をした際に、ニューデリーで付いた現地ガイドは、コルカタに移動すると別の現地ガイドに交代した。
やはり言葉が通じないのだと言っていた。
インドっていろいろな意味で広いのだなあ。
亡くなった祖父の遺灰を南インドの海へ撒いてくれとの遺言で、ラーフル(シャールク・カーン)はチェンナイ・エクスプレスで南へ向かう。
その車中で暴漢に襲われるミーナー(ディービカー・バードゥコーン)を助ける羽目となり、彼は彼女とともに彼女の村へ行くことになる。
実は、ミーナーは父親の命令で意に沿わない結婚を迫られていて、逃げだそうとしていたのだった。
おまけに彼女の父親は村の実力者、恐ろしい手下を引き連れたドンだったのだ。
南インドのタミル地方というのは、ムンバイあたりとはまったく違う文化圏のようだ。
どのように違うのかまでは判らないのだが、とにかく南インドでは色彩が溢れている。
底抜けに明るい日射し、お寺も極彩色、歌も踊りも極彩色!(笑)
前にも書いたことがあるが、インドでも大人気のシャールク・カーンはあの岡田准一に似ている。
この映画では基本ダメ男で(最後にヒーローらしく男気を発揮するのだが)、悪くない。
それに、それに、やはりディービカー・バードゥコーン。
彼女は、美人揃いのインド映画のヒロインの中でも、トップの美しさだと思っている。
「恋する輪廻」でデビューした彼女は、この映画の時は27歳。
もう、非の打ち所はないっ!
偶然であった男女が、成り行きでカップルのふりをする。
と、そのうちに(美しい)女性の方が、成り行きだけではない自分の恋心に気づく。
で、女性がそれとなくモーションをかけるのだが、勘の鈍いダメ男はそれに気づかない(このあたりがポイント 笑)
やっとダメ男も自分の恋心に気づいて、困難な戦いに挑む・・・。
こういったところがボリウッド・ラブ・コメディものの王道ストーリー。安心して観ていられるなあ。
最後に、あの名優ラジニ・カーントに捧げるダンス・シーンが出てきたのには驚いた。
日本でのインド映画普及の切っ掛けとなったのは、そのラジニ・カーントの「ムトゥ/踊るマハラジャ」だったと思うが、あの映画は南インドのタミル語映画で、いわゆるボリウッドではなかった。
この映画はボリウッドなのだが、タミル映画へのオマージュを捧げているわけだ。
この「チェンナイ・エクスプレス」は、日本でも大ヒットした「きっとうまくいく」を抜いて、インドでの興行成績は第2位だったという。
しかし、充分に愉しませてもらったのだが、個人的には、映画自体は、コメディ部分、ラブ・ロマンス部分、ともにちょっと中途半端だった・・・かな(汗)。
しかし、しかし、ディービカー・バードゥコーンを観ることができるのだから、文句は一切言いません(笑)。
さあ、楽しい時間を過ごしましょう!