2015年 フランス 104分
監督:ミシェル・ゴンドリー
少年ふたりのひと夏の冒険譚。 ★★☆
中学生なのに小柄なダニエル。女の子のような容姿で、クラスメイトからからかわれている。
そんなある日、改造自転車を乗り回すエンジンオタクのテオが転校してくる。
変わり者同士の二人は、なんとなく仲良くなる。
で、二人はスクラップを集めて自分たちで作った自動車で夏休みの旅に出る。
ミシェル・ゴンドリー監督が自分の少年時代の体験をもとにした物語とのこと。
二人が作った自動車というのが変わっていて、面白い。
手製の自動車なんて正式には認めてもらえない。そこで周りをベニヤ板で覆って家の形にしてしまう。
これはよく考えたなあ。本当に小さな家に見える。
これなら警察が来たら道ばたに建っている家の振りをすればいいし、家だから中で寝ることも出来るよ。
少年二人のひと夏のロード・ムーヴィーといえば、ファティ・アキン監督の「50年後のボクたちは」があった。
あちらは学校ではみ出し者の二人が車を盗んで旅をする物語だった。
清々しくも切なさも漂う作品だった。
こちらの映画の二人も珍妙な旅を続ける。
パトカーが来たので急いで道ばたの家の振りをする。
すると警官が降りてきて近づいてくる。
これはヤバイ! と思ったら、警官は”奇妙な家”の前で記念写真を撮って立ち去っていった。やれやれ。
テオがダニエルに言う、女の子みたいだと言われるのが嫌ならその髪を切れよ。
嫌だ、人と同じようにはなりたくない。自分でいたいんだ。
そうか、これは自由奔放な映画を撮るゴンドリー監督の基本的な立ち位置なのだな。
そのうちに、ダニエルは自分の決断だと言って髪を切る決意をする。
折角髪を切る決意をしたのに、あれ、散髪屋がない。どうしよう。あ、ここが開いている。
しかしそこは性風俗店だったのだ。で、純真な少年はすったもんだの大騒動。
主役の少年が、まあ、可愛い。
長髪の時もそうなのだが、坊主頭になったらますます女の子のように見えてきていた。
これからどんどん美青年になっていくのだろうか。
それとも、長じるにつけて普通の容貌になってしまうのだろうか?
二人は喧嘩もしたりして、ある事件で二人の車は失われる。
旅の終わり。ひと夏の終わり。
二人はそれぞれの学校生活の日々に戻っていく。
しかし、この映画はそれほど感傷に溺れることはない。比較的あっけらかんとしている。
最後、ダニエルが好きだったちょっとませた同級生の女の子が映る。
母親(オドレイ・トトゥ)と一緒に去っていくダニエルを見送りながら、振り向いて、と願う。
おやおや、彼女もダニエルのことが好きだったのか。
思いが通じるなら振り向いて、3つ数えるうちに、・・・駄目なら7つ数えるうちに、・・・それでも駄目なら、無限・・・。
やはり、青春は少し甘酸っぱいか。