2021年 アメリカ 118分
監督;ガイ・リッチー
出演:ジェイソン・ステイサム
悪党の復讐物語。 ★★★
2003年のフランス映画「ブルー・レクイエム」のリメイク作とのこと。
まったく笑顔を見せない男が現金輸送車の会社に雇われる。
さて、こいつは何者だ?
アメリカは日本とは比べものにならないほどの物騒な国。
なにしろ銃器が普通に市中で販売されていて、許可証を取れば誰でも持つことができる。
そりゃ現金輸送車(キャッシュトラック)を力尽くで襲う輩はいくらでもいるのだろう。
だから現金輸送請負会社だって完全武装だぜ。運搬人だって腕っ節自慢の奴らばかりだぜ。
そんな会社に新人のパトリック、通称“H”(ジェイソン・ステイサム)が警備員として採用される。
ある時、彼は現金輸送車を襲った強盗を超人的な高い戦闘スキルで撃退する。
おい、お前、すごいな。すっかり仲間からも一目置かれる。
さらに別の時には、襲ってきた強盗はHの顔を見たとたんに一目散に逃げ出していった。
おい、お前、すごいな、すごいけどお前何者なんだ?
その後の展開は知らずに観た方が楽しめるだろう。
映画は、ガイ・リッチー監督の持ち味がよく出ていた。
時間軸は巻き戻しをするように再現され、ああ、あのときは別の角度から観ていればこういうことだったんだね、なるほど。
なぜだ?と思われていた事柄がちゃんと回収されていく。お見事。
原題は「怒りの男」。もう内容はそのタイトル通り。
その怒りの男には、全く笑わないステイサム、苦虫を噛みしめたようなステイサム。
主人公のHは、はたして英雄(HERO)のHだったのか、それとも悪党(HEEL)のHだったのか? ポスターは上手く作っている。
ちょっとだけネタバレをするならば、パトリックは息子を愛する無双親父だったのだ。
息子の仇を討つまでは、お前ら、みんな許さねえっ!
一見、寡黙な物静かな男だけれど、実は怒り出したら手がつけられないキレた男になる。
ステイサムがそんな怖い男の雰囲気にぴったりだった。