2022年 アメリカ 176分
監督:マット・リーブス
出演:ロバート・パティンソン、 ゾーイ・クラビッツ、 ジェフリー・ライト、 ポール・ダノ
新・バットマン。 ★★★★
ティム・バートン版「バットマン」はそれほど熱心には観ていなかったのだが、ノーラン版にはすっかりやられてしまった。
なので、またバットマンがリブートされると聞いたときは、今さらどうして?という気持ちだった。
しかし観てみると、これはこれでありか、という出来であった。
今作はブルース(ロバート・パティンソン)がバットマンとなって夜の街で悪人を懲らし始めた頃の物語。
まだ若く、未熟な故の危うさを残している。
バットマンは決して超人ではなく、完全なヒーローでもない。苦悩の人でもあった。
青白い印象のパティンソンは、眼の周りに隈のようなメイクをしている。
そのために病的ともいえる繊細な感じをよくあらわしていた。
ゴッサム・シティも荒廃した町として描かれている。
街の景観も荒廃しているし、何よりもそこで生活している人々の気持ちが荒廃している。
こんな街に希望はあるのか、明るい明日はあるのか、と問いかけたくなるよう。
ということで、映画全体の雰囲気はとても暗い。
ほとんどの場面が夜だったのではないだろうかと思えてしまう。おまけに天候も好くなかったような・・・。
しかしそれは今回の狙いであるだろうし、その雰囲気はリブートをする意味を充分に付け加えていたのではないだろうか。
今作の敵役リドラー(ポール・ダノ)は連続殺人犯で、犯行現場になぞなぞを残していく。
警察やバットマンを挑発しているのだ。
そして彼はブルースにまつわる過去や、ブルースの亡き父が犯した罪を暴露していく。
ますます苦悩するバットマン。俺の使命は何なのだ?
バットマン映画に華を添えるのがキャットウーマン。
今作でも要所であらわれて小気味のよい活躍をしてくれた。彼女も超人ではなくて普通の女の子っぽい感じを出していたのが好かった。
演じたのはゾーイ・クラビッツ。
初めて観た女優さんかと思ったのだが、調べてみると「幸せのレシピ」や「Xメン」、「ダイバージェント」などにも顔を出していたようだった。
存在感はアン・ハサウェイやハル・ベリーには劣るかもしれないが、好いよ。続投を希望。
目のあたりが水原希子に似ている気がしたのは私だけ?
陰鬱なバットマン映画。腺病質なヒーロー像。
これまでのバットマン映画の中でもとびぬけて暗かった。
しかし3時間の長さを感じさせることはなかった。続編期待。
映画の終わりで、どこまでも善人として闘う決意をするバットマン。
(空にバットマンの影を投影しなくても連絡は直ぐに取れると思うのだけれど、これがバットマン召還の儀式だから、ね。苦笑)