1981年 アメリカ 99分
監督:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル、 リー・バン・クリーフ、 アーネスト・ボーグナイン
近未来バイオレンス・アクションもの。 ★★☆
単純明快なアクション映画。
設定は、よくそんなことを考えついたなあ、という近未来もの。
16年後の近未来、マンハッタン島は全体が巨大な刑務所となっていた。
島は高い塀で囲まれ、周囲には完全武装の警備員が常駐している。逃げ出せない。
そして、島の中には管理者はいない。
ようするに無法地帯。悪者たちは悪者たち同士で勝手にやらせておけ、という発想の刑務所。
これはカーペンター監督らしいユニークな舞台設定。
そこに爆破された大統領専用機から脱出した大統領がただひとり落ちてしまう。
生きた大統領を奪還せよ!
恩赦と引きかえに、元特殊部隊出身で終身刑の罪人スネーク(カート・ラッセル)が救出に向かう。
しかも、24時間以内に生還しないと体内に仕込まれた爆薬が破裂するという時間制限付き。
このように判りやすい状況設定(笑)。
相手はとにかく悪者ばかりだし、やっつけるのになんの仮借も要らない。
スネークはアイパッチをつけて、いかにもひと癖もふた癖もあるような雰囲気。
彼はグライダーで世界貿易ビル(!)の屋上に着陸する(ああ、このときはまだツイン・タワーは建っていたんだ)。
それからは機銃を片手にバンバンと悪者をやっつけては、廃墟の中を突き進んでいくぞ。
いかにもチープな感じが漂うB級映画。
カーペンター監督は、そのあたりを逆手にとって、というか、開き直って、というか、妙な背伸びはしないで、B級映画のなにが悪い!と言わんばかりにやってくれる。
そのあたりが、彼にコアなファンが少なからずいる所以だろう。
この映画の世界観は、その後のゲームやアニメにも影響を与えたらしい。
スネークに指令を与える長官にリー・ヴァン・クリーフ。
私は彼とくればマカロニ・ウェスタンのイメージが強いのだが、この映画の彼も格好よかった。
パイプ煙草がよく似合うといった雰囲気。
うろちょろとする廃墟の中のタクシー運転手にアーネスト・ボーグナイン。
都合よくあらわれてはスネークを助けてくれる。
脱出のタイミングなんて、あり得な~い!というようなもの。
ただし、カーペンター監督の映画でそんなことをつっこんではいけない(笑)。
どことなく垢抜けないアクションを愉しみましょう。
原題は「ニューヨークからの脱出」ですが、好評につき、ということで、「L.A.からの脱出」という続編も作られています。