あきりんの映画生活

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「BAD CITY」 (2022年) 問答無用の鉄拳勝負だ!

2022年 日本 117分 
監督:園村健介
出演:小沢仁志、 リリー・フランキー、 三元雅芸、 坂ノ上茜

豪華版Vシネマ。 ★★★

 

暴力がはびこるある街で、暴力団桜田組の組長が、韓国マフィアに殺される。
この権力闘争の裏には、街を裏で操る巨大財閥の会長・五条亘(リリー・フランキー)がいた。
韓国マフィアを利用して、この街にカジノを作ってやるぞ。

 

そこで、良心的な検事長は五条の罪を暴こうと、公安の小泉(壇蜜)の元に4人のメンバーからなる特捜班を結成した。
その班長には、殺人罪で服役中の元強行犯警部の虎田(小沢仁志)を期限付き釈放であてる。
という筋立てで、特捜班、韓国マフィア、日本暴力団が三つどもえの戦いを始める。

 

この映画は、Vシネマの帝王(!)である小沢仁志の還暦記念作品とのこと。
私もかつては時折Vシネマを観ていた。
その頃から小沢仁志は存在感のあるやばさを紛々としていて好きだった。

 

彼の苦虫噛みしめ渋面深皺だらけの彼の強面ぶりは、映画で観ている分にはとても好い。
しかし、街で出会ったらすぐに回れ右をして、電車で乗り合わせたらすぐに車両を移動してしまいそう。
それぐらいの不穏な迫力を持っている。
そんな彼は徹底的にトレーニングをして、CGやスタントなしで100人以上を相手の大乱闘場面に挑んだとのこと。

 

特捜班の一人に坂ノ上茜。正直なところまったく知らない若手女優さんだった。
アイドルみたいなひ弱な感じで、華を添えるだけの役回りかと思って観ていた。
ところが、やるじゃん、殴り殴られ、見事に蹴り技も決める。
きっと警察学校の武術訓練でもいい成績だったのだろうなと思わせるほどの身のこなしだった。

 

敵の用心棒役のTAK(坂口拓)のアクションは素晴らしい。その動きの速さは半端ではない。
手をゆらゆら揺らして間合いを取る独特の戦闘スタイルは格好いいの一言。
こいつに勝てる奴なんていないんじゃないかと思わせる。

 

それに対抗しての小沢仁志はパワー勝負。
この感じは、そうだ、マ・ドンソクだ。問答無用、小難しいことはなしで鉄拳勝負だ、あの感じではないか。
情け容赦のない暴力映画は韓国映画のお得分野だが、この日本映画、頑張っているじゃないか。

 

敵の悪役大財閥役だったのがリリー・フランキー
いつもは少し剽軽な人生派的な善人役が多い。しかしこの映画では見事に嫌らしい権力の亡者になりきっていた。
役者ってすごいものだな。

 

土壇場で、えっ、こいつも裏切り者だったのか・・・。
これにはやられた。襖の陰に隠れていたなんて気がつかなかったよ。Vシネマの脚本を甘く見ていたよ。

 

当然のことながら、小沢仁志の魅力をいかに見せるかにすべてを賭けた映画。
彼の贔屓筋だったら満足して観ることができます。
逆に、小沢仁志って誰?という方は観る必要のない映画でした。