あきりんの映画生活

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「真夜中のサバナ」 (1997年) イーストウッド監督の異色作

1997年 アメリカ 155分
監督:クリント・イーストウッド
出演:ジョン・キューザック、 ケビン・スペイシー、 アリソン・イーストウッド、 ジュード・ロウ

殺人か、正当防衛か。 ★★☆

 

映画の舞台であるサバナというのは、アメリカ南部、大西洋に面した古い街。
碁盤目状に作られた道の両側に南部特有の木立が茂り、由緒ある教会や公園が点在するという。観光地なのかな。
映画では街全体が南部らしい保守的な雰囲気として描かれている。

 

この街で骨董商を営んでいるのが、大邸宅に住む富豪のジム(ケンビン・スペイシー)。
彼が主宰する豪華なクリスマス・パーティを取材するために街を訪れたのが、ライターのジョン(ジョン・キューザック)。
ところがそのパーティの夜に、ビリーという青年が撃ち殺され、ジムが容疑者として逮捕される。
えっ? どうしてそんなことが? 事件に興味を抱いたジョンも勝手に事件を調べ始める。

 

この映画は、実際にサバナで起こった事件を基にした小説が原作とのこと。
すると、殺人罪か、正当防衛による無罪か、実際に裁判もおこなわれたのだろう。
ドラッグクイーンの証人も実在していて出廷した?

 

この映画には、これ、何?と思うところがいくつかあった。
ブードゥー教のお婆さんが冒頭にあらわれ、最後もふぉふぉふぉと喪黒福造の様に去っていくのだが、このオカルト趣味、必要だった?
死んでしまった犬の首輪だけを持って今も散歩する人や、虻をいつも顔の周りに飛ばしている人もあらわれる。
街の住人も奇妙な人ばかり・・・。こんな登場人物、必要だった?

 

ジムに撃ち殺される被害者のビリーは、ゲイで麻薬中毒、おまけに切れやすいというハンサム青年。
あとで彼が若き日のジュード・ロウだと知ってびっくり。へぇ~。

 

それと、ジョンと親しくなっていく花屋の女性がいた。
魅力的な女優だと思っていたのだが、なんとイーストウッド監督が最初に結婚した時の娘さんだった。へぇ~。
でも、彼女には一緒にバーをやる予定の彼氏がいたんじゃね? 彼、どうなった?

 

後半はまったくの法廷ものとなっていく。
ビリーを撃ち殺したのはジムに違いないのだが、その状況が焦点になっていく。
ジムは、ゲイの愛人だったビリーをどのような経緯で撃ってしまったのか、やむを得ない状況だったのか?

 

そして証人として登場してくるのがドラッグ・クイーンのザ・レディ・シャブリ(ジェフリー・ルイス)。
彼女?のインパクトが、まあ、すごい。
お尻を振り、シモネタ連発で、映画の雰囲気を一気に別ジャンルのものに変えてしまいそうなほど(苦笑)。

 

結局のところ、この映画は本格的な事件解明ものではなかった。
かといって、本格的な法廷ものでもなかった。
ブードゥー教も出てくるが、オカルトというわけでもないしなあ。
なにか、ごちゃ混ぜ感がある。どれも中途半端な感じ。

 

しかし2時間半の長さを退屈せずに見せるのだから、イーストウッド監督の力業は確かにあるわけだ。
というわけで。あまり正統派のイーストウッド監督作らしくはなかったな。

 

言ってみれば、奇妙な住人たちが住んでいるサバナという街の雰囲気に呑まれた作品だった。
それを描きたかった?