あきりんの映画生活

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「彼が二度愛したS」 (2007年) 秘密会員制クラブに溺れて

2007年 アメリカ 108分
監督:マーセル・ランゲネッガー
出演:ユアン・マクレガー、 ヒュー・ジャックマン、 ミシェル・ウィリアムズ

ニートラップ・サスペンス。 ★★☆

 

ジョナサン(ユアン・マクレガー)は真面目な会計士。
引っ込み思案で友だちもおらず、ただ仕事をするだけの単調な人生を送っていた。
そんな彼は、監査員として派遣された大手法律事務所で弁護士のワイアット(ヒュー・ジャックマン)と知合う。

 

ユアン・マクレガーは髪を七三に分け、いかにも優等生といった雰囲気。
女性にも奥手で、何事にも遠慮してしまうような覇気のない男を上手く演じていた。
それに引き替えオールバックのヒュー・ジャックマンは遣り手。
バリバリのセレブ感を、スーツの着こなしから自信に満ちた言動まで、もう、カリスマ性まで発散している。

 

さてこの二人、意気投合して一緒に飲みに行ったり、テニスを楽しんだりする。
そして、ジョナサンはワイアットから高級会員制秘密クラブを教えられる。
特定の登録電話番号で、「今夜は暇?」との合い言葉で美女(!)との一夜限りの関係を持つことができるのだ。
お互いに名前も住所も尋ねてはいけない、私生活を明かしてはいけない、誘った方がホテルは予約する・・・。

 

好いなあ、夢のような秘密クラブだなあ、と思う紳士淑女は少なくないのでは?
誰だって面倒な手続きなしのアバンチュールを楽しみたい?
そう、シャーロット・ランプリングだって会員なんだぜ(汗)。

 

そして、ジョナサンはかつて地下鉄で見かけて一目惚れしていた女性(ミシェル・ウィリアムズ)とそのクラブで再会する。
名前が“S”から始まることしか分からないその女性に盲目的に惹かれていくジョナサン。
彼女もジョナサンに気を許してくれているようだぞ。うれしいなあ。
それにしても、彼女は何者?

 

まあ、観ている人は誰でも、秘密クラブを紹介しておいて行方をくらませているワイアットは怪しいよなあと思う。

 

(以下、ネタバレ気味)

 

もちろん、ワイアットは初心なジョナサンを後戻りのできない深みに引きずり込もうとしたわけだ。
ジョナサンの会計士という立場を悪用しての悪事に荷担させようとしたわけだ。

 

会員制秘密クラブというアイディアはなかなかに好奇心をくすぐる道具立てだった。
しかし、ちょっと考えれば、わざわざそんな面倒くさいことをしなくても、ジョナサンを罠にはめるのはもっと簡単にできたのではないかい、と思ってしまう。
だから、この秘密クラブそのものをワイアットの最終的な計画に組み込むようなお話にはできなかったのだろうか、と無い物ねだりをしてみたくもなる。

 

ということで、道具立てはおもしろかったのだが、サスペンスそのものはちょっと浅かった。
ま、最後にジョナサンもやられてばかりではないぞと、反発するところは良かった。
オールバックのユアン・マクレガーはなかなかに格好良かった。

 

ちなみに原題は「DECEPTION」で、騙すこと,嘘、などの意味。
これ、駄目でしょ。邦題のほうが意味ありげでよかった。
その点はご褒美、ご褒美。