あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「秘密の招待状」 (2019年)

f:id:akirin2274:20210428174843j:plain

2019年 アメリカ 112分
監督:バート・フレインドリッチ
出演:ミシェル・ウィリアムズ、 ジュリアン・ムーア、 ビリー・クラダップ

親子とは、家族とは? ★★★

 

スサンネ・ビア監督のデンマーク映画「アフター・ウェディング」のハリウッド・リメイク作。
オリジナルでは男性2人の主演だったが、それを女性2人に置き換えている。

 

インドで救護活動をしているイザベル(ミシェル・ウィリアムズ)。
金銭的に苦しい施設の運営なのだが、ニューヨークの資産家から多額の援助の申し出がくる。
これは有り難い。その援助の条件はイザベルがニューヨークまで行って事業説明をすること。
どうして私がわざわざニューヨークまで行かなければならないの?
でも、資金援助を受けるためには仕方がないわね。

 

やり手実業家のテレサジュリアン・ムーア)は会社を手放し、そこからの高額資金を援助に回してくれるという。
すごい、でもどうしてそこまでしてくれるのかしら?
おまけに娘さんの結婚式にも強引に招待されてしまったわ。

 

気が進まないままにイザベルがテレサの娘の結婚式に出かけると、えっ、あそこにいるのは私が若いころに別れた元カレじゃないの!
元カレがテレサの夫だったの? 元カレがあの娘の父親だったの?
えっ、テレサはそのことを知った上で私を招待したの? どうして?

 

オリジナルを見ている方はそのあたりの事情は承知していることになる。
もし未見であれば、映画予告は観ないで鑑賞することをお勧めする。
その方が絶対に物語を楽しめる。

 

ということで、以下はネタバレである。

 

親子であるということはどんなことなのか、物語はそんなことを問いかけてくる。
生みの母親と育ての母親。
どちらも母親ではあるわけだが、生後すぐに自分を捨てた(というか、母親になることを拒否した)母親を、そんなに簡単に受け入れられるものだろうか。
それよりも、今の自分が在るのは育ての母親のおかげだと思うのが自然の気もするのだが。
女性目線で観るとまた違った感想になるのだろうか。

 

ジュリアン・ムーアがどっしりとしている。
あまりにどっしりとしているので、彼女の決断は大金を自由に出来る者の放漫さと紙一重ではないかという感じさえする。
でも、残されるみんなの幸せを必死に考えた末の行動だったのだろう。

 

一方のイザベル。
やむにやまれず育てない決断をした我が子が成長して目の前にあらわれたら・・・。
いったいどんな気持ちになるのだろう。
母性というのは少しずつ育まれていくものではなくて、天性のものとして始めから与えられているものなのだろうか。
そのあたりは、男性の私にはどこまでいっても理解できない事柄だった。

 

それぞれが悩み悲しんだ末に、物語は温かい結末を迎えている。
しかし個人的には、テレサの望みは裏切ることになるが、イザベルにはインドに戻って欲しかったな。
これまでせっかく築いてきた新しい家族と共に生きる道を選んで欲しかったな。

 

原題はオリジナルと同じで「アフター・ウェディング」。
「秘密の招待状」というこの邦題はちょっと思わせぶりすぎて、真剣な内容にはそぐわない気がする。
同じタイトルでは何か困る事情があったのだろうか。

 

フレインドリッチ監督は、ジュリアン・ムーアの旦那さんとのこと。へぇ~、そうなんだ。
オリジナル映画に惚れ込んだムーアが制作者となって、旦那さんに撮らせたようだ。
・・・でも個人的には、スザンネ・ビア監督のオリジナルの方が好かった気がする。