2021年 フランス 114分 お姉さんが守ってあげるわよ
監督:ナボット・パプシャド
出演:カレン・ギラン、 レナ・ヘディ、 ミシェル・ヨー
女殺し屋たち。 ★★★☆
亡くなった殺し屋の母(レナ・ヘディ)のあとを継いで凄腕殺し屋となったサム(カレン・ギラン)。
彼女はターゲットの娘エミリーを匿ったせいで、組織から命を狙われることとなる。
さあ、お姉さんが守ってあげるわよ。一緒に逃げるのよ。
という設定なのだが、ネオンサインがきらびやかな夜の街を舞台に、次から次へとスプラッター趣味のアクションがくり広げられる。
感じとしては、夜の遊園地での追いかけっこ・殺し合い大会といったところ。
しかし、お洒落な感覚にあふれており、どこか滑稽味もある。
サムが訪れる図書館は、実は武器庫。
そこを守っているのはサムの母親のスカーレットの元同僚の3人のおば様たち。
「ブラック・パンサー」のアンジェラ・バセット、「エブ・エブ」でアカデミー賞を獲ったミシェル・ヨー、それによく知らないカーラ・グギノという人。
おばさんだと思って見くびってもらっては困るわよと言わんばかりに、3者3様の活躍ぶりを見せてくれる。
面白い場面はいくつもある。
サムを襲ってくる3人の(間抜けな)殺し屋とのコミカルで、しかし激しい戦いは抱腹絶倒。
命令を受けてサムを襲ってくるのはいつもこの3人組。
腕に麻酔を打たれてしまって両腕がしびれて動かないサム。どうする?
とサムは、動かない手に拳銃をくくりつけて身体を反転させながら相手を狙い撃つ。
そんなに上手く当たるはずないじゃないか、なんて言ってはいけない。これはそういう映画なのだよ。いぇ~い。
そして腕がしびれているサムは、幼いエミリーを膝に載せて車の運転までしてしまう。
アクセルとブレーキは足の動く私がやるわ。ハンドルとギア・チェンジを言うとおりにしてね。
二人の連携運転で、カー・チェイスをするわ、スピンターンはするわ、もうすごい、すごい。
主役のカレン・ギランは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に出ていたとのこと。
あれ、こんな女優さん、どこに出ていた?
調べたら、・・・あの青色サイボーグ化したネビュラ役だった。そりゃ、判らんわ。
クライマックスは図書館での大攻防戦。
なんと死んだはずだった母まで現れて、3人のおば様たち、サムとそろって、大銃撃戦となる。
ついには、ワカンダ国の女兵士だったおば様は金槌を手にして、どすっ、ぐしゃっ。
もちろんミシェル・ヨーおば様は2階の手すりからぶらさがったりカンフー技を見せたり。
おお、すごい迫力の肉弾戦だな。
監督・脚本は、「オオカミは嘘をつく」の後味の悪さをよく覚えているナボット・パプシャド。
あの作品とはまるで違う感触の作品で、こんな愉しさ全開の女殺し屋アクションものも撮るんだとびっくり。
全体の雰囲気はタランティーノ監督を思わせる。特に「キル・ビル」か。
アクション場面は今風の「イコライザー」や「ジョン・ウィック」ぽくて、悪くない。
映像にも美意識にこだわった感じがある。
あまり期待せずに見はじめたのだが、とても楽しめた作品だった。