1984年 アメリカ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:リチャード・ギア、 ダイアン・レイン
ジャズ・クラブを舞台にした群像劇。 ★★★
コットンクラブというのはニューヨークに実在したライブ・レストラン。
禁酒時代の1923年にハーレムに開店し、白人のために黒人の演奏するジャズを聴かせていた。
ドレスコードがあり、黒人客は入ることができなかった。そんな時代だったのだ。
この映画は、そんなコットンクラブを舞台にして、暗黒街の争いと男女の恋物語を絡ませて描いている。
なお、コットンクラブは1940年に閉店したとのこと。
主人公の一人に、白人ミュージシャンのディキシー(リチャード・ギア)。
ある夜、彼はギャングにダイナマイトで狙われた暗黒街のボス、ダッチを助ける。
おい、お前、白人なのに好いジャズを演奏するなあ。
ダッチに目をかけられたディキシーは、彼の口利きもあってコットンクラブで演奏をするようになる。
ディキシーは、ダッチが襲われた時に一緒にいた歌手のヴェラ(ダイアン・レイン)の命も救っていた。
彼女の歌の伴奏をしたりしているうちに、ディキシーとヴェラは恋人の関係となっていく。
しかし、ヴェラはダッチの愛人だったのだ・・・。
リチャード・ギアはいつも通りに少しにやけたダンディ男。
ジャズ・ミュージシャンにしてはアクの強さが感じられないのがやや残念。
でも格好いいから許してしまおう。
一方のダイアン・レインはこの映画の時、まだ本当に10代。
もうびっくりするぐらいに可愛い。
中年になってからの美魔女の彼女しかしか知らなかったので、この初々しい可愛らしさには驚いた。脱帽である。
さて、もう一人の主人公は黒人のサンドマン。
一流のタップダンサーになるのを夢見て、コットンクラブのオーディションを受けて合格する。
そしてクラブの歌手リラに一目で恋をする。
こうした恋物語と平行してギャングの覇権争いも描かれる。
ディキシーの弟のチンピラ・ギャング役にニコラス・ケイジ。
顔も困った顔のケイジなのだが、このチンピラ弟も浅はかな向こう見ずのかなりの困ったちゃん。
情けないなあ、お前、あまり迷惑をかけないでくれよ。
実在のクラブが舞台なので、客となってあらわれる実在人物もいる。
チャップリンやラッキー・ルチアーノというマフィアの名も聞かれる。
実は彼は、「ゴッドファーザー」で描かれたヴィトー・コルレオーネのモデルであったりする。
その後、ハリウッドの大物にみとめられたディキシーは映画界のスターになっていったり。
コットンクラブの人気タップダンサーになっていたサンドマンはリラと結婚したり。
ダッチのもとを離れられなかったヴェラは、ナイトクラブの経営をまかされたり。
そして時代は大恐慌へと突き進んでいく。
こうしてコットンクラブを舞台に、さまざまな人間模様が描かれる。
コッポラ監督なので、当然のことながらあの「ゴッドファーザー」と比べてもしまう。
あちらはイタリア・マフィアの争いに主軸を置いていたが、この映画は恋物語にかなりの比重がかかっている。
そのあたりが評価の分かれるところだろうか。
そうなのだ、この映画だけみれば決して悪い作品ではない。
しかし、「ゴッドファーザー」と比べると、やはりその優劣はあまりにも明らかだった。