あきりんの映画生活

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「わたしは生きていける」 (2013年) あなたがいれば・・・

2013年 101分 イギリス 
監督:ケビン・マクドナルド
出演:シアーシャ・ローナン

サバイバルもの。 ★★☆

 

前半と後半では物語のテイストがまったく違う映画。
はじめは多感な少女の青春もの、だったのだが、途中からは戦禍の中でのサバイバルもの、となっていく。

 

ニューヨークから休暇を過ごすために一人でイギリスにやってきた16歳のデイジーシアーシャ・ローナン)。
幼い頃に母親を亡くしたこともあって、彼女はことあるごとに反抗的な態度をとるような少女。

 

彼女は頑なに頭の中に聞こえる声に従い、自分ルールをたくさん持っている。
おそらく、辛い過去があったのでもう傷つきたくないと、自分ですべてのことに予防線を張っていたのだろう。
他人に対するきつい口調や態度。全てけんか腰。腹立つ奴だなあ。

 

しかし、そんな彼女に従兄弟の3人は、長兄のエディ(トム・ホランド)はじめとして優しく接してくれる。
食事を一緒にとり、川へ泳ぎに誘ったりして、デイジーの心も次第にほぐれていく、素直な少女らしさを取り戻していく。

 

好かった、好かったと、ここまでは多感な少女のほのぼの物語だった。
ところが、映画の三分の一あたりから様相ががらりと変わる。
ロンドンで核爆発が起こり、戦争が始まってしまうのだ。えっ? そんな・・・。

 

戒厳令が敷かれ、デイジーたちが暮らしていた田舎にも軍隊がやってくる。
理不尽な軍の命令でデイジーたちは離ればなれに拘束されてしまう。
そして、もう一度エディと会いたいデイジーは、幼いエディの妹と一緒に拘束場所から逃げ出すのだ。

 

映画を観るまでは、戦禍で荒れ果てた市街地などを追っ手を避けながら逃げるのかと思っていた。
違った。逃避行はまったくの山野でのものだった。
野宿をして、木の実を食べたりしながらデイジーとエディの妹はひたすら故郷を目指す。
大自然の中でのサバイバルものだった。

 

シアーシャ・ローナンは薄い青い瞳が印象的な少女。
そしてこの映画ではその彼女以上に頑張っていたのが幼い妹だった。
正直に言って顔はそんなに可愛い女の子ではない。しかしその健気にデイジーと共に故郷を目指す姿は次第に愛おしく思えてくるものだった。

 

この映画、設定にかなり無理をしている。そのためにツッコみ所も沢山あった。
この世界での放射能汚染はどうなったんだ?といった、日本人だったらまず気にする部分は完全にスルーしている。
(某ハリウッド映画では、核爆発を冷蔵庫の中に隠れてしのぐ、といったびっくり仰天な展開もあった)

 

それはさておいても、川へ泳ぎに行ったときに水に入るのを嫌がるデイジーに、エディがまた頭の中の声と争っているのか、と言う。そして強引に彼女を川へ入れてしまう。
エディはどうして頭の中の声のことを知っていたのだ?

 

森の中で方角を見失ったときに、妹が兄エディが可愛がっていた鷹を見つける場面がある。どうして空を飛んでいる鷹の見分けが付いた?

 

それに、デイジーが見つけたとき、倒れていたエディは瀕死状態だったのだが、あまりにも間がよすぎないか。
それに、エディと一緒に連れていかれた弟は殺されていたのに、どうしてエディだけ助かった?

 

最後にデイジーが呟く、あなたがいれば私は生きていける・・・。
ということで、雑な作りの作品であることは否めなかった。
まあ、シアーシャ・ローナンのファンだったら・・・といったところでしょうか。