あきりんの映画生活

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「沈黙の艦隊 北極海大海戦」 (2025年) 戦争を欲しているのはどっちだ?

2025年 132分 日本 
監督:吉野耕平
出演;大沢たかお、 笹野高史、 江口洋介、 上戸彩

沈黙の艦隊」映画版第2弾。 ★★★

 

大好きなかわぐちかいじの同名コミックの実写化第2弾。
観始めて、あれ?物語が前作の終わりからだいぶ飛んでいないか?
前作は、たしか海江田が独立国やまとを宣言したところで終わっていたはず。

 

後で知ったのだが、TVドラマ版として前作の続きが放送されていたとのこと。
本作はそこからの続きだったようだ。それ、映画(のみ)愛好家にとっては邪道じゃね?
しかし原作の同名漫画は大好きで何回か読み直している私なので、物語の展開に戸惑うことはなかったぞ。

 

本作では、独立国を宣言した原潜やまとは国連総会へ出席するためニューヨークへと向かう。
その経路であるベーリング海峡北極海で、アメリカはニューヨーク行きを阻止しようとして最新鋭の原潜を差し向けてくる。
北極海の氷山の下でくり広げられる戦いが前半に描かれる。
レーダーで感知し、ソナーで探り、潜水艦同士の静かな、しかしぎりぎりの戦い。しびれる。

 

そして後半は、北極海を抜けた先での待ち構えているアメリカ機動艦隊との大決戦。
もう潜水艦ものが好きな者にはたまらない映画である。大満足の展開である。

 

しかし、どうしてもここはもっとしっかり描いてほしかったという点を3つ。

 

一つは、潜水艦同士の戦いでの作戦の読み合い、頭脳戦がわかりにくかったこと。。
動力を停止して旋回しながら自然降下すれば、敵艦はこの位置で艦首をこちらに向けているはずだ。
そういった見えない敵との無音の探り合い、策略の応酬。
それをもっと見せて欲しかった。

 

もう一つは、やまとが海中から水上へ飛び出る場面である。
絵柄としてはそれは巨大鯨が飛び出してきたようで、見事なものだった。
不満は、水上へ飛び出した目的、手段が十分に説明されていなかったこと。
あれは無数に投下されたアメリカ軍の爆弾の一斉爆発の衝撃を避けるためだった。その爆発の衝撃を逆に利用して水上へ飛び出したのだった。

 

そしてもう一つ。
やまとは保有魚雷数より多いアメリカ機動艦隊を、ピンガー照射により全滅を試みたわけだ。
アメリカ機動艦隊もそのメッセージを受けて、ピンガー照射を受けた艦艇は戦闘から遠ざけていた(訓練での模擬戦闘でも、潜水艦からピンガーを受けた艦艇は撃沈されたものと見なされる。)
機動艦隊としては、艦隊の象徴である空母だけはなんとしてもピンガー攻撃から守らなければならかった。
そこで残っている無傷の(ピンガー照射をまだ受けていない)艦艇で空母を護る陣形を取ったのである。
しかし海江田は操艦戦略/技術によって空母にもピンガーを当てたのである。
そこで機動艦隊も自分たちの敗北を認めて、やまとのニューヨーク行きを認めたのである。

 

細かい不満を言ったが、大枠として大変に楽しめる映画だった。
さて、このあとどこまで映画化してくれる?
まさか配信のTVドラマだけで終わりという事はないよな・・・。
ハドソン川での海江田の命を賭けた艦橋でのあのパフォーマンスも観たいものだぞ。