1966年 アメリカ 125分
監督:ノーマン・ジェイソン
出演:カール・ライナー、 エバ・マリー・セイント、 アラン・アーキン
シニカル題材の軽いドタバタ・コメディ。 ★★☆
米ソの冷戦で緊張が続く時代。
アメリカ北東部の小さな島の沖で、あろうことか、ソ連の潜水艦が座礁してしまう。
これは困ったぞ。潜水艦をひっはり出すためのボートを何処かから調達してこよう。
こうしてソ連の水兵たち9人が艦長命令で島に上陸する。
ボートを入手したいだけのソ連兵なのだが、それを見た島の人たちは大騒ぎをする。
噂が噂を呼び、ソ連が攻めてきたっ!
挙げ句の果てに、やれ、パラシュート部隊が降り立っただの、やれ、飛行場が占領されただの、噂は大きくなるばかり。
まるで宇宙人が侵略してきたかのよう。
原題は「ロシア人がやって来るぞ!」。
どこか皮肉っぽい調子でソ連兵と村人たちの繰り広げるドタバタ劇を描く。
本当はどちらも善良な人同士なのだが、世界情勢の不安定さが疑心暗鬼を呼んでいるわけだ。
岬の別荘に避暑に来ていた作家を演じていたのは、カール・ライナーという映画監督さん。役者としてもよく出ているらしい。
ちなみに、息子はあのロブ・ライナー監督。
その奥さんがきれいな女優さんだなと思って観ていたのだが、 エバ・マリー・セイントだった。
ヒッチコックの「北北西に進路をとれ」に出ていた美女さんだった。
きれいなはずだ。あんな美女と寝台列車で旅をしてみたいもの(汗)。
上陸したロシア潜水艦の副長にアラン・アーキン。
英語にも堪能で、良識派という役どころ。映画の流れを引き締めている。
ヘップバーンの「暗くなるまで待って」では怖ろしい犯人役を演じていたし、愉快な「リトル・ミス・サンシャイン」ではぶっ飛んだエロ爺さんを演じていた。
何でも演じてしまう。確かな演技派の人だな。
さて、映画の方は・・・。
本当は友好的なソ連兵のはずなのに、村人のなかに超タカ派の退役軍人がいて、村人をあおりまくる。
ソ連をやっつけろ、儂が指揮を執るぞ。
こういう人がいるから話が(愉快に?)ややこしくなるんだよな。
作家の家の見張りに残された若いソ連兵がかなりのイケメン。
周りのばたばた劇をよそに、留守番にきていた女の子とごくごく自然に恋に落ちてしまう。
こういったところが憎めない物語の展開だった。
あわやという緊張状態にもなるのだが、基本的にはソ連兵も村人も善人同士。
めでたく物語は解決していく。
ソ連潜水艦を攻撃するためにアメリカ空軍の戦闘機がやってきたりもするのだが、それも村人の漁船が守ってくれる。
暖かいエンディングで、よかった、よかった。
不穏な世界情勢の中でも、本当は人々は善良なのだというメッセージを感じます。
軽い気持ちで楽しめる映画です。