あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「空母いぶき」 (2019年)

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2019年 日本 134分
監督:松節朗
出演:西島秀俊、 佐々木蔵之介、 佐藤浩市

日本の防衛問題を考える。 ★★★☆

原作は、連載が続いているかわぐちかいじの同名コミック。
専守防衛しか行ってはならない日本自衛隊に、攻撃型空母ではないかと議論を巻き起こした”空母いぶき”が配備された近未来の日本である。

私は原作漫画の大ファンである。
そしてこの映画は、原作のファンには、侵略してきた国を曖昧なものに変えたり、新聞記者を同乗させていたりと、原作を損ねていると不評だったとのこと。
しかし私は面白く観た。

クリスマス・イヴ前日、日本の領土の島が国籍不明の武装集団に占領されてしまう。
海上自衛隊は直ちに訓練航海中の航空機搭載型護衛艦「いぶき」を出動させる。
陣容は、いぶきの他にイージス艦4隻、潜水艦1隻。
当初は「防衛出動」としていた政府だったが、敵の攻撃に総理大臣はついに「専守防衛」を命令する。

物語のメインは、架空の航空機搭載型護衛艦「いぶき」。
大きな特徴としては、日本初のスキージャンプ式の飛行甲板が採用されていること。短い滑走距離での離陸が可能になるようだ。

艦載機はF-35JBが15機のみ配備されている。
これは、あくまでも専守防衛目的であるとのことから、搭載しているのは航続距離の長い対地攻撃型戦闘機ではなく、防衛に必要な対潜水艦用戦闘機であると説明するため。
実際の国会での政府答弁でも、「攻撃型空母とは、対地あるいは対艦の攻撃力のある航空機を搭載する空母」と言っている。
だから「いぶき」はあくまでも攻撃型空母ではない、防衛用の航空機を搭載した護衛艦だ、と言う論法だ。

戦争をしてはいけないことは誰だって知っている。
日本には世界に誇るべき憲法第9条もちゃんとある。
しかし、理不尽な他国が問答無用で侵略してきたときにはどうすればいいのか。
何かの対応をしなければ日本の国土は占領され、被支配国になってしまう。
そんなときに国連はちゃんと日本を守ってくれるのか? 他力本願だけで日本は安全なのか?

物語は、侵略してきた敵が先制攻撃をしかけてくる。
自衛隊はそんな敵に対して発砲するのか。それは防衛か、攻撃か。

かわぐちかいじのコミックでは、日本を武力行使をしてでも守らなければならない状況に陥ったときに、自衛隊はどうするか、という問題提起が為されている。
自衛隊が日本初の原潜を保有した状況を扱った「沈黙の艦隊」でもそうだった。

どういう状態になったら自衛隊は戦闘をおこなえばいいのか。
どこまでのきれい事で日本という国を守れるのか。
主役になる艦長(西島英俊)と副艦長(佐々木蔵之介)の二人の考え方の違いが、この問題を観ているものにも考えさせてくる。
戦闘と戦争は違う、一般国民が危険にさらされる状態になったときが戦争だ、という台詞があった。
なんとか「戦争」にはつなげたくないとの思いで、「戦闘」をおこなっていく訳だ。

対潜水艦の闘い、圧倒的に不利な数での戦闘機同志の闘い。
そして艦隊戦。
派手なCG場面はなかったが(イージス艦に敵弾が命中する場面も直接的には描いていなかった)、状況の緊迫さはよく伝わってきていた。
本気になると「いてまえっ!」と関西弁になる護衛艦「ちょうかい」の艦長もよかった。

気になる点もいくつかあった。
終始西島秀俊の含み笑いみたいな表情が解せない。とても違和感がある。
そして、中井貴一のコンビニ・パートはまったく不要だった。
戦闘行為がおこなわれている一方で、平和な日本があることを対比させたかったのだろうが、まったくの失敗。

それにこの戦闘の結末はご都合主義としか思えない。
原作が未だ連載中であるので、映画としては何らかの結末を作らなければならなかったのだろうが、あまりに安易だった。
国連がこんなに足並みそろえての実行動を起こすなんてことはないだろう。

しかし、くり返すが、面白く観ることができた。
沈黙の艦隊」も映画化してくれないかな。