1990年 アメリカ 135分
監督:ジョン・マクナティアン
出演:ショーン・コネリー、 アレック・ボールドウィン
潜水艦もの。 ★★★☆
潜水艦ものには傑作が多い。
古典的な有名作品では「Uボート」「眼下の敵」の2本が双璧だろうか。
アクション・サスペンス的に面白かったのは、「U-571」と「K-19」。どちらも艦隊番号をタイトルにしている。
そして私のお勧め2本といえば、「クリムゾン・タイド」とこの「レッド・オクトーバーを追え」である。
原作はトム・クランシー。
だから主人公はCIA分析官のジャック・ライアン(アレック・ボールドウィン)なのだが、実質的な主役は原潜レッド・オクトーバーのラミウス艦長(ショーン・コネリー)。
監督は「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナンなので、危ういところはまったくなし。
女性は一人も登場しない(たぶん、そうだったと思う)映画。男の映画。
この映画の骨子は、原潜ごとアメリカへの亡命を企てたラミウス艦長の目論見が成功するかどうか、という物語。
原潜には大勢の乗組員がいるわけだが、上級士官はラミウスの気心の知れたものばかりで固めている。
さて、アメリカに亡命の意図をどうやって伝えるか、そしてその意図を信じてもらえるか否か。
一方、ソ連には亡命するという意図を感づかれてはならない。もし、気づかれてしまったら、どうやって逃れるか。
そして、何も知らない士官以外の部下をどうするか。
ソ連政府の作戦命令にしたがっている振りをしてアメリカへ近づこうとするレッド・オクトーバー。
しかし、さすがにソ連政府は、これはおかしいと気付く。
そして原潜コノヴァロフにレッド・オクトーバーを追跡させ、亡命を阻止するために撃沈しようとする。
アメリカ側もソ連原潜の意図不明な動きをキャッチして緊張する。
アメリカ本土に近づいた敵原潜が攻撃をしかけてくるのではないかと、当然のことながら疑うわけだ。
そこへソ連政府からも、狂気にとらわれた指揮官の原潜が貴国へ向かっている、レッド・オクトーバーを撃沈して欲しい、という依頼も来る。
う~む。
ラミウス艦長を演じるショーン・コネリーが実に渋い。
彼が亡命を企てた根拠がすこし弱い(説得力不足)ではあるのだが、コネリーがあまりにも格好いいので、そんなことは許してしまおう(汗)。
潜水艦ものとくれば、ソナー員による水中での相手の位置の探り合いである。
息を潜めてパッシブ・ソナー(相手のスクリュー音を聞きつける)で相手を見つけようとする。
この映画でも、レッド・オクトーバーとコノヴァロフの闘いがある。
そしてアメリカ原潜ダラスとの駆け引きは緊迫感に満ちている。
アクティブ・ソナーが上手く使われている場面もあった。
通常は、ビーコンを打って反射音から相手の位置や距離を測定するためにおこなわれるのだが、この映画ではアメリカとの意思確認の手段として使われていた。
ゾクゾクするねえ。
(ツッコミ)
ソ連原潜が撃沈されたわけだが、あの海域の放射能汚染はどうなったんだ? 大変な事態だと思うのだが・・・。
エンターテイメント性を充分に持ったポリティカル・サスペンスものです。
漫画「沈黙の艦隊」が好きな人だったら、ぜひ。