
1995年 178分 アメリカ
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、 ジョー・ペシ、 シャローン・ストーン
ラスベガス舞台の人間模様。 ★★★☆
舞台は1970年代ラスベガスのカジノ。
賭博師の腕を見込まれて大きなカジノのマネージャーを任されたサム(ロバート・デ・ニーロ)は、その才覚で店を大繁盛させる。
スコセッシ監督作の「グッドフェローズ」の原作者ノンフィクションを基にしているとのこと。
サムの幼なじみのニッキー(ジョー・ペシ)は肝の据わった乱暴者。
彼はサムの相棒として汚れ仕事を一手に引き受ける。
サムの経営手腕と、ニッキーの暴力をいとわない裏仕事が上手くかみ合って、二人はどんどんのし上がっていく。
映画はサムとニッキーの語りが交互に映像に被さって進んでいく。
いわば解説付きなので、状況が判りやすく、複雑な人間関係も追いやすく、物語に没頭できる。
さすがスコセッシ監督、こういった映画の見せ方は手慣れている。上手い。
サムの前に現れるのが美しいハスラーのジンジャー(シャロン・ストーン)。
お金と宝石が大好きな一癖も二癖もある女性なのだが、サムは彼女に一目惚れ。
二人の結婚生活は豪奢で、成功者としての満ち足りた人生を手に入れたように見える。
しかし、いいのか? 虚飾にもまみれているぞ。
ロバート・デ・ニーロの上手さは言うまでもないのだが、ジョー・ペシの存在感も好かった。
単純で、それだけに手が付けられないから困るのだが、切れやすいギャング。
彼の存在が、デ・ニーロの頭の切れるインテリ・ヤクザをより浮き上がらせていた。
さらに感心したのはシャローン・ストーン。
実ははじめのうちは、彼女は「氷の微笑」で売れただけの際物女優かと思っていた。
しかし「スペシャリスト」や「クイック・アンド・ザ・デッド」で観て、見直したのだった。
そしてこの「カジノ」である。この悪女ぶりは大したものだった。感心した。
やがて3人の関係にほころびが生じ始める。
何かがあるごとに暴力沙汰で片を付けていくニッキーは警察やFBIから目をつけられてしまう。
こりゃただじゃすまないぞ。
さらにジンジャーには腐れ縁の元彼がいたのだ。
この元彼がどうしようもないクズ野郎。麻薬には溺れているわ、悪筋からの借金だらけだわ、まともなことをする覇気もないわ、とだめだめ男。
しかしジンジャーは惚れ抜いていて、彼のために大金も惜しげなく使ったりする。
こりゃもめるぞ。
さあ、3人がそれぞれたどる人生はどうなっていく?
ほぼ3時間の長尺だが、さすがにスコセッシ監督、3人の年代記を緩むことなく描いていた。
正統派映画(何が正統派なのだ?)の傑作のひとつでしょう。