2005年 日本 99分
監督:富永まい
出演:岸田今日子、 吉行和子
老嬢とモノノケのファンタジー。 ★
ゴミ捨て場から拾いあつめたものが積み重なっている家で暮らす2人の老嬢姉妹。
ある日、赤い毛糸で編み物をしている少女があらわれて、住みついてしまう。この少女は、毛糸の服が編みあがるたびに「あみなおしじゃ~」と叫んで、ほどいてしまう。
この映画は岸田今日子の最後の作品。
結構、好きな女優さんだったし、吉行和子との競演ともなれば、その独特の迫力は期待できるというもの。
しかし、これはいけなかったなあ。
拾いあつめたものが次第にモノノケになってきたりするし、アミナオシと名付けられた少女もモノノケのようなのだ。
ファンタジーというか、悪夢というか、そのあたりを狙っているのだろうが、奇妙なお話の判りにくさがちっともこちらへ響いてこない。
好いなあと思う作品は、判りにくくても”美しさ”があるのだが、この作品はまったく美しくない。
中盤からは姉妹の過去が蘇ってくる。
うがって考えれば、拾いあつめて捨てられなかったものは姉妹の思い出ともとれる。
そして、赤い毛糸とは、少女が大人の女性になったことの象徴なのかも知れない。
(最後の、大量の赤い毛糸が川に流れている場面は、流れる血液をあらわしているのか、と考えてみたり)。
老嬢の人生が、やりなおしじゃ~、と叫んでいただけなのだろうか。
それだけではあまりにも空しい映画だが、残念ながら、それ以上のものは感じ取れなかった。
サンダンスNHK国際映像作家賞を受賞しています。