あきりんの映画生活

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「ローマ帝国の滅亡」 (1964年)

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1964年 アメリカ 194分
監督:アンソニー・マン
出演:ソフィア・ローレン、 アレック・ギネス、 スティブン・ボイド、 クリストファー・プラマー

歴史ものの一大叙事詩。 ★★★

大作「クレオパトラ」を堪能したので、では次は、その後のローマ帝国ものの史劇を、ということで観る。
この映画も3時間を越える大作で、CGのなかった時代に巨大なセットを組み、戦闘場面では大量のエキストラを動員して、重厚感と迫力を出している。
冒頭の、最後の賢帝と言われたアウレウス(アレック・ギネス)が属国の王たちに謁見する雪の中の城の場面からして、惹き込まれる。

時代的にはラッセル・クロウ主役の「グラディエーター」とまったく同じで、登場人物も同じである(「グラディエーター」を作る際に、本作を参考したというのは有名な話)。
ただ、あちらが徹底的に個人の英雄譚として描いていたのに対して、こちらはもっと大局的な歴史の流れを語るといった側面を強くしている。

だから、物語の主役も、武将リヴィウス(スティヴン・ボイド)や愚帝コモドウス(クリストファー・プラマー)、それにリヴィウスの悲恋の相手ルシア(ソフィア・ローレン)と分散をしてしまい、それぞれの人物像の描き方は浅くなってしまった。

さくさくと歴史をなぞるような展開もあり、人物の心理描写なぞはかなりそっちのけではある。
親友の方が高く評価されて父に冷遇されたコモドウスとか、リヴィウスとの仲を裂かれて政略結婚をさせられるルシアとか、ね。
とはいえ、巨大建築が立ち並ぶ壮大なローマの街並みや、エキストラ8000人を使った戦闘場面など、さすがのスペクタクル作品となっている。ん、満足。
私がこういった史実ものが好きなんだろうなあ。

ソフィア・ローレンは艶やかな花のある美しさ。個人的にはエリザベス・テーラーよりは何倍か好みである。
そのローレンの結婚相手・アルメニア王がオマー・シャリフとは気づかなかったなあ。

皇帝の座をめぐっての争いが根底にあるのだが、納得しにくいのは、そんなに重大な皇帝の座が安易に決まってしまうこと。
たとえば、アウレウスが暗殺されたあとにリヴィウスが、コモドウスが次の皇帝だ!と叫ぶと、それだけで決まってしまったような感じ。
最後のあたりでも、決闘でリヴィウスがコモドウスを倒したとみるや、姑息な元老の一人が、リヴィウス皇帝万歳、と叫ぶと、もうそれだけで群衆は、リヴィウス皇帝万歳、と唱和してしまう。
こんなのって、ありか?
大体が、ついさっきまでリヴィウズのことを重罪人だと言って火あぶりにしようと騒いでいたのに。
扇動される民衆というものの、なんと愚かなことよ、と思ってしまう。

物語としてはそれほど深いものではないが、とにかく壮大な歴史絵巻といった観点で観れば、十分に楽しめる作品でした。
さて、次に観るのは「ベン・ハー」か「エル・シド」か?