2006年 アメリカ 103分
監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン、 バート・ヤング
「ロッキー」シリーズの最終話。 ★★☆
ご存じ「ロッキー」はこれまでに5作が作られていた。
その5作目から16年が経って「ファイナル」が作られた。第1作目からは30年が経っている。
スタローンも還暦。大丈夫か?ロッキー・スタローン。
ロッキーがなぜもう一度リングに上がる決意をしたのか、前半は静かな展開で心情がつづられる。
アクション映画にありがちな単純な復讐とか、誰かとの因縁とか、そんなものを持ってこなかったところが、この映画のよかったところ。
年老いての日常生活の鬱屈とした気持ち、それを振り払うための無謀な挑戦。好いねえ。
後半になって、いよいよ試合に向けてのトレーニングを再開して、あのファンファーレ・テーマが流れると、ああ、ロッキーだと思ってしまう。
そして現チャンピオンとの試合。
そりゃこうなるだろうとは誰もが思う展開なのだが、それでもこれがロッキーなのだし、好いねえ。
スタローンは「ランボー」シリーズも最終話を作ったし、往年のアクション・ドラマの懐古集大成のような「エクスペンダブルス」も作った。
アクション・スターもボクサーも、肉体の衰えはいかんともしがたい。
映画のロッキー・バルモアと実際のスタローンが重なって見えるのは当然だろう。
誰だって、60歳になったスタローンがもう一度「ロッキー」を撮りたいと言ったら、晩節を汚すなと止めるだろう。
それでもスタローンは「ロッキー」を撮った。
映画人としてのスタローンにとって、それぞれにけじめが必要だったのだろうか。
それこそロッキー・バルモアみたいに、アクション・スターとして心の中に未だくすぶりつづけるものがあって、最後にそれを全部吐きだしてしまいたかったのだろうか。
これまでのロッキー・シリーズを観てきた人なら、その人のこれまでの思いも積み重なっているから、この「ファイナル」も感慨と共に観ることができるでしょう。