1995年 アメリカ 105分
監督:ブライアン・シンガー
出演:ケビン・スペイシー、 スティーブン・ボールドウィン、 ガブリエル・バーン、 ベニチオ・デル・トロ
ひねりの効いたサスペンスもの。 ★★★★
タイトルは「常連の容疑者」とでもいう意味。
ある事件の容疑者として警察に取り調べを受けた5人の前科者が、主人公となって物語がすすむ。
5人とは、元悪徳警官(ガブリエル・バーン)、強盗コンビ(スティーブン・ボールドウィンとベニチオ・デル・トロ)、爆発物のプロ、そして身体障害者の詐欺師(ケビン・スペイシー)である。
物語はとても錯綜しており、注意深く観ていないと置いてけぼりをくらう。
だいたいが、詐欺師ヴァーバルが特別捜査官の取り調べで語った物語なのだ。
だから、いくつかの事件の時間軸もときに前後したりするのだ。
うまい話にのって宝石泥棒をしたら、実は盗んできたのは麻薬だったりもする。
そして彼らの弱みを握って脅しをかけてくるのは、カイザー・ソゼという悪の世界の一大黒幕だったのだ。
彼が裏で尾を引いていて、彼の弁護士と名のる人物が新しい仕事を強要してくる。
ケビン・スペイシーというのは、どの映画にあらわれても、端から怪しげな、どこか一筋縄ではいかないような食わせ物の人物であることが多い。
そして、そういう役がはまり役で上手い。
この映画でも、彼の語りによって物語の真実が明かされていくのだが、やはり、一筋縄ではいかないんだよね。
ああ、何が本当で、何が嘘なのか・・・(ああ、これ以上は、言えん!)。
未だ若かった頃のベニチオ・デル・トロも5人の中の一人として出演している。
チンピラ兄ちゃん風で、のちの愁いをおびたような風情は未だない(ポスターの右から2番目)。
彼が途中で退場してしまったのは残念。
(以下、ややネタバレ、のヒントになってしまうか?)
なんといってもこの映画の評価は、最後まで観たときにぐ~んと跳ね上がるだろう。
そういう意味ではすでに有名な、一定の評価を得ている映画といえるのだろう。
ただ、勘のいい人であれば、最後のオチは、もしかすればと、途中で疑いはじめるかもしれない。
それでも、その最後に向かっての語り口の上手さには、唸るものがある。
乱雑に壁にとめられていたさまざまな資料とか、落ちて割れるコーヒー・カップとか・・・。憎いねえ。